考古用語辞典 A-Words

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セルタプ 2009年10月30日更新

セルタプ

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面白テーマ|基本用語|>セルタプ

チベット中央部または東チベット 18世紀後期-19世紀前期 綿布着色 143.5×90.2cm ツィンマーマン・ファミリー・コレクション セルタプは、「金の鎧を持つ者」の意であり、穏和で白く、法螺貝を髪の毛に付ける護法尊ツァンパ・ダクポ、どう猛な梵天の忿怒形である。ある経典では、セルタプは梵天の心臓から発せられる光の中から生まれたという。セルタプは、明らかにカダム派で人気がある。このタンカには、ラマでカダム派訳経官、ゴク・ロデン・シェーラプの姿がある。彼はカムのチャムドに近い、ゲルク派転生者の最も格の高いダクヤプ寺大学のラマの転生者と見なされる。セルタプはこの寺の特別な護法尊であり、ラサのデープン大学の有力なニャクレ学寮の護法尊でもある。そこはダクヤプラマが高い教育を受けに通うところである。 セルタプは、夜叉大将のようなどう猛で赤色の姿であると述べられる。ここでは、橙赤色の火焔の中にいる赤い馬に乗る浮き上がる巨大な像としてあらわれる。右手で先端に宝珠の付いた梶棒を振り上げ、左手には仏教の悪しき敵対者を捕らえて縛り上げるための羂索を持つ。強靭で顎髭をたくわえた暗赤色の面相で、三つの丸い煌めく白い眼と「鋭く氷のような」白い歯をはっきりと突き出す。頭頂には、忿怒尊に特有の五髑髏冠の付いた金の兜をかぶる。2枚の孔雀の羽の付いた錦幡と小さい傘蓋が兜の頂上に付いている。広い量感ある体躯は、その標識である革の鎧で特徴づけられ、ここでは金で描かれる。鎧の下には、明るい青緑色の絹の衣をまとう。これらは、馬を飾る衣と同様に勢いよくひるがえりはためく。広い宝石の付いた腰帯には、獅子の毛皮の箭と鞘に入った剣をさげる。  セルタプは同心円状に赤、黄、白の三重のゆがんだ八角形の城壁のある要塞宮殿の中心にあらわされる。外側から一重目の城壁の内側は暗青色の地で舞踏するそれぞれ色の異なる夜叉形の像が配される。剣を振りかざすものもいる。二重目の部分は薄緑色で、夜叉や武人や供養者が、宝珠や樹木の間で舞踏する。一番内側の広い場所は、宝珠の散らばるラピスラズリの地で、夜叉やセルタプの六大脇侍がいる。それぞれ雲や煙の上にのった馬に乗って駆けている。それぞれ背後に雲と緑の木に囲まれた宮殿がある。これらは、セルタプの、その身体、ことば、徳、神通力のあらわれである。  画面の上方には、暗青色の空に対し、雲と樹木に囲まれている金色の屋根の3層のセルタプの宮殿がある。セルタプは第1層を占有する。第2層の中心柱には、阿弥陀仏の姿があり、その左にはラマ(銘文からロデン・シェーラプ)、右には、赤ハヤグリーヴァ(馬頭)が脇にいる。第3層は阿弥陀仏がいる。建物の外側には、左側に観音(慈悲)の転生である2人のラマとその下に白クーラーがいる。右側には文殊(智慧)の転生である2人のラマとその下に緑ターラーがいる。画面下方の、城塞宮殿の外側にはトルマという奉献用の餅の供物が中央にあり、その両側に供物の入った髑髏杯があり、両端にはそれぞれ左にジャンバラ、右に毘沙門天という2体の財宝神がいる。  この絵画は、優れておりドラマチックである。この尊格の現存作例としては、最もすばらしく豪華な絵画である。ロデン・シェーラプがあらわされることと、明るい青緑色はしばしば東チベットの系統の作品に用いられていることから、この作品はおそらくチャムド地方のものとみられる。この種の忿怒相の神将形像で、大きな強靭な体型のものは、7世紀の中央アジアと中国唐時代に起源を持つ。チベットの表現は、しかしながら、この形に新しい活力を与えたものであり、さらに壮大な様式の発展がみられる。それは荒々しく力強い気迫のある多彩な図柄の美しさを強調することである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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