考古用語辞典 A-Words

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灰陶彩絵倉楼  2008年10月23日(木)更新

灰陶彩絵倉楼
【和:かいとうさいえそうろう
【中:Hui tao cai hui cang lou
秦・漢・三国|陶磁器>灰陶彩絵倉楼


後漢時代
間口52.5cm 奥行22cm 高134cm
1972年河南省焦作市出土
河南省博物館
 細泥灰陶 前部に中庭があり,後部は取り外しができる4層の倉楼 上の階にいくほど間口が狭くなり,形は楼開に似る.全体に紅・藍・黄などの彩色を施す。
第1層:高55cm,間口52.5cm,奥行22cm 正面の壁に細い線刻で4本の側柱があり,間口5間(柱と柱のあいだを「間」という)であることを示している.柱の根本には礎石がなく円形の柱孔(柱密)が彫られている.柱の上に頭貫が線刻され,その上に雲気文が描かれている。その上部は側柱に応じて方形の窓が四つ第2層:高26cm 正面に二つの方形の窓があき,雲気文,斜方格文が壁いっぱいに描かれている その上は高さ7cmの取り外せる欄干黄色・監色で地覆・束・笠木(手すり)・羽目板を描き,羽目板の上に連子や菱格子らしい直線文を描く。木作りの欄干をまねる.
第3層:高さ32cm,間口2間,奥行1間.正面に長方形の入口が2つあいている.上部に取り外せる屋根が載る正面中部にはね出し梁がつき出て,その上に斗拱(斗と肘木からなる建築組物)を置き, 5斗組.正面の3組の斗洪と左右側の各2組の斗拱以外に裏の側柱には斗拱がない.角は斜めに出たはね出し梁の上に直交する横木を置いて斗拱を支える手法は漢代陶楼や漢代彫刻絵画の建築物にめったに見られないもので, この手法は角をおおうように斗拱を作る後世の原形であろう。
第4層:高さ21cm.上に取り外せる寄棟の屋根が載る.傾斜はゆるく,軒先は割りに深い。軒下に方形の壁体.正面の壁に方形の窓,紅色,藍色で直線文,三角形,正方形などの幾何学文が描かれている。
楼の前に長方形の中庭がついていて,表の塀を二つの闕(門楼)と罘(罒+思)(一種の障壁)の形に作って,子闕(附属の小さい闕)がなく中庭を囲う塀と直接つながっている。闕の屋根は寄棟門外に穀物を背負い年貢を納めに中へ入ろうとする農民の姿が見える。一番上の楼に平幘(平たい頭巾)をかぶった地主がすわり,窓から外を見張っている。明らかに年貢を納める農民を監視しているのである。中庭には恐ろしげな犬が寝ころんでいる.
この彩絵倉楼は漢代地主荘園経済の発展を具現したものである。また漢代の建築様式研究のためにも具体的な資料を提供している。出所:「黄河文明展」

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