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観音菩薩坐像 2009年1月23日更新
一九五二年収集(移管)陝西省西安市東関景龍池廟宇伝来
大理石、彩色
高七三・〇、幅三一・〇、奥行三一・〇
唐 八世紀中頃
陝西・西安碑林博物館
西安景龍池の廟に伝来したといわれる白大理石の美しい観音像。景龍池は、玄宗(在位七一二~七五六年)が開いた宮殿(興慶宮)内の池の跡にあたり、現在、その付近は興慶宮公園となっている。光背を欠くものの、像本体ばかりでなく、装飾・持物・台座の各部にいたるまで、ほとんど損傷がみられず、保存状態はきわめてよい。表面の彩色は、大半が剣落しているが、頭髪にその痕跡が認められる。
高めの髻を結って、三面宝冠をかぶり、豪華な首飾りとX字状に交差する瓔珞や腕釧をつけ、裳と天衣をまとう。頭を右方へ少し傾け、腹前においた左手で蓮の蕾を持ち、右手を蕾にそえ、蓮華座に坐る。経典などの規定に拘泥しない、中国の造像ならではの、自在な姿態といえよう。宝冠の正面には、観音の標識である化仏が備わる。
丈高い台座も像本体とともに一材から彫り出される。上部には蓮華、中間部には蓮池の様が表わされる。池から生えた蓮華に菩薩が坐るという、浄土の様が連想される意匠である。下部側面の周囲には、六つの区画が設けられ、それぞれ奏楽天人が一体ずつ浮彫されている。端正な表情と、やわらかく的確な肉付けがほどこされた体躯の様とが、ほどよく調和を保つとともに、頭髪の毛筋や、台座の蓮華の蕊の一本一本まで克明に表現することなど、工人の入念な制作態度と高度な技量をうかがうことができる。
八世紀前半期の生動感に富んだ造形とは質の異なる、繊細優美な作風からみると、八世紀半ばから後半期にかかる頃の制作と考えられよう。出所:唐の女帝・則天武后とその時代展1998
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