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金剛般若経開題 2009年3月13日更新
【和:こんごうはんにゃきょうかいだい】 |
【中:Jin gang pan ruo kai ti】 |
彫刻・書画|>金剛般若経開題 |
空海筆
一巻
紙本墨書
縦二七・九 全長一三一・八
平安時代・九世紀
般若経典の一つである義浄訳の『能断金剛般若経』について、空海(七七四~八三五)が密教的な見地から解釈し、大要を提示したもの。弘仁四年(ハー三)十月の撰述とみる説もあり、制作年代を考える上で大いに参考になる。現在最大の分量である六十三行分を有する京博本はもと神光院に、これに次ぐ三十代行分を有する奈良博本はもと醍醐寺三宝院に伝えられたとされる。ほかにも、断簡の形で根津美術館をはじめ諸家に分蔵される。惜しくも関東大震災では八十六行分を焼失するが、現在百五十行程度が知られるという。加筆訂正の跡があり、空海が草稿本として筆を執ったものとみられる。
その書は、たとえば奈良博本では、今しがた書かれたかと思われるほどに、墨色は生々しく潤いをたたえる。色は均一の黒ではなく、空に架かる虹のように行を追うごとに少しずつ変化してゆくため、その筆勢と相俟って大いに精彩に富む。墨色に宿る精彩を、まざまざと実感できる数少ない名品として特筆されよう。また、個々の文字が、たとえば球体のようなイメージで紙面から立ち上がるかにみえることがある。その理由として、円運動を多用した草書体で文字が書かれる傾向に加え、起筆と収筆の角度が垂直かそれに近い関係で文字が構成される例が多いことが考えられる。筆勢・墨色・文字構成等がそれぞれ意味をもって統合され、文意と一体化したと感じさせる力を秘めているところに、空海の書の真骨頂を思わせる。伝存する空海の書のなかても屈指の名品である。出所:書の至宝-日本と中国2006
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