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屏風土代 2009年3月14日更新

屏風土代
【和:びょうぶどだい
【中:Ping feng tu dai
彫刻・書画|>屏風土代

小野道風
一巻
紙本墨書
縦二二・七 全長四三六・六
平安時代・延長六年(九二八)
東京・宮内庁三の丸尚蔵館
 平安貴族にとって寝殿造の室礼調度として不可欠であった屏風や障子には、描かれた画に対応する詩歌を清書した色紙形が貼られるのを通例とし、その執筆には時の能書が任命された。これは、そうした屏風の色紙形への揮毫にあたり、小野道風(八九四-九六六)が下書き(土代)として大江朝綱(八八六-九五七)の漢詩を揮毫したもので、『日本紀略』(延長六年十二月条)の「命大内記大江朝綱、作御屏風六帖題詩、令小内記小野道風朝臣書之」という記事に一致する作品として、きわめて貴重である。ちなみに、この朝綱の詩十ー題のうち摘句で六首は『和漢朗詠集』に採録され、広く愛唱された。巻末に、藤原定信(一〇八八-一一五四-?)による識語があり、上述の制作事情と保延六年(一一四〇)に物売女から定信が買得した経緯を記す。その後、この一巻は伏見天皇のもとに伝わり、同天皇による臨摸が造され、学書の対象とされたことがわかる。現在、十八紙に律詩(四韻詩)八首と絶句三首を完存し、巻末に定信の識語一紙を継いだ合計十九紙の形で伝わる。
 さて、『源氏物語』に「今めかしうをかしげに目も輝くまでみゆ」と当時新しい感覚の書として注目を浴びた遺風の書であるが、この作品では豊潤で落ちついた和様の筆致と確立された書法の存在を見出すことができる。さらに、清書のため の小文字の注記や、ある文字についてその傍らに異なるくずしを列挙した例などが散見され、下書きとしての性格をよく伝えている。
 なお、大江朝綱の自筆として『紀家集』(延喜十九年〈九一九〉)が現存するのはまことに幸いというべきで、醍醐天皇が「朝綱が書の道風に劣れる事、讐えば道風の朝網が才に劣れるがごとし」(『江談抄』第二)と称賛し、当時、文筆の才を競った双璧の面目を今に伝えている。 出所:書の至宝-日本と中国2006
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