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玉泉帖 2009年3月14日更新
【和:ぎょくせんじょう】 |
【中:Yu quan tie】 |
彫刻・書画|>玉泉帖 |
小野道風筆
一巻
紙本墨書
縦二七・六 全長一八八・五
平安時代・十世紀
東京・宮内庁三の丸尚蔵館
『白氏文集』巻第六十四から詩を撰び、行書と草書を自在に織りまぜて揮毫したもので、現在四首分を一巻として伝わる。書き出しから「玉泉帖」と呼ばれ、巻末に追風(八九四-九六六)の識語を有する。すなわち、「以是不可為褒既非例体耳」とあり、見る者に常の書法ではないことを断っている。
その書は、行草二書体の間を自由に行きかい、墨に潤渇、線に太細、筆勢に遅速と、極端なほどに付けられたその振幅はじつに多彩で変化に富んでいる。さらに、文字の大小や連綿の有無によって、字間と行間はさまざまな表情を有し、全体的におおらかで天真爛漫な書風が展開される。道風筆の他の遺品にはみられないこうした背景には、わりあいに自由な状況下でのびのびと筆を執った様子が想起される。こうした「玉泉帖」に、いわば能書の素顔とでもいうべき道風の私的な一面を見出すことが可能ならば、漢詩文の教養を基礎に和文による散文が開花した十世紀という時代の空気に通有するものと指摘することもできよう。出所:書の至宝-日本と中国2006
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