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書状(国申文帖) 2009年3月14日更新
【和:しょじょうくにのもうしぶみじょう】 |
【中:Shu zhuang】 |
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藤原佐理筆
紙本墨書
縦三〇・五 横一〇五・七
平安時代・天元五年(九八二)
東京・春敬記念書道文庫
この年、参議正四位下で伊予権守を兼ねることとなった藤原佐理(九四四~九九八)が丹波守藤原為雅宛てに出した書状。伊予国の申文を朝廷に提出するのが手違いで遅れたことを詫びることから始まる。次いで朝廷内部で佐理の不本意な人物評がとり沙汰されていることに触れ、それらに対して申し開きをする。その詳細として、従来は、女車への供奉を怠ったことを詫びたものとする説が散見されたが、必ずしもひたすら詫びているだけのものではないとする解釈もあり、あらためて今後の考究が課題とされる。
その書は、やや薄めの墨を用いて、速い筆致で一気に認められており、『新猿楽記』の著者の「一墨之様」という評の的催さを思わせる。消えてしまう言葉の端を筆先が追いかけてゆくかの速い筆致で、文字のくずしが漢字として判読できる限界まで追求し、極限の美をなし遂げている。あくまで喩えであるが、もしさらに速度を上げて筆画を省略させれば、遠心力に耐えきれずに平仮名が生じ出るかの印象がある。現存する佐埋筆の書状の中で最も長文であり、佐理のすぐれた技量と感性を発揮した遺墨として、まことに貴重である。
出所:書の至宝-日本と中国2006
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