考古用語辞典 A-Words

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ゴッホの墓とピサロ美術館(フランス) 2009年7月16日更新

ゴッホの墓とピサロ美術館(フランス)

【和:ゴッホの墓とピサロびじゅつかん
【英:Musee Pissarro
研究機関|>ゴッホの墓とピサロ美術館(フランス)

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホゆかりの地、オーヴェール・シュル・オアーズは、パリから北へ車で約四十分、三五キロほどの行程である。ピサロ美術館もすぐ隣町にある。
 村に入ると国道に沿って右側に広場があり、その前の小さな古びたカフェがメゾン・ド・ヴァン・ゴッホ(当時のカフェ・ラヴー)であった。中に入ると、右手にバーのカウンターがあり、その横でゴッホの絵はがきを売っている。  ゴッホの部屋へ行きたいのですが...!」と、カフェの女性に尋ねたところ、ニ階です。そこの階段をのぼって下さい」と、事務的な素っ気ない笞が返ってきた。
 二階は貸し画廊になっていて、もう一階挟い本の階段をのばった屋根裏部屋がゴッホが自らの生命を絶った部屋だった。屋根しか見えない高い天窓、金属製のベッドと椅子が一脚置かれた小さな暗い部屋である。ゴッホの絵の複製が二枚壁に掛かっていて、イーゼルが置かれていた。こんなに息の詰まりそうな挟い空間で仕事をしていたら、精神病とは無縁の人でも病気になりそうな粗末 な部屋である。自らの神経の発作に恐れおののいているゴッホの姿が眼に浮かぶようである。
 この辺一帯は、フランスの田園らしく平和で風景も美しい。その柔らかな光の中で、ゴッホは光のない屋根裏部屋で自分自身と闘っていたのだ。私はそんなゴッホの悲劇を思った。
 外の冷たい空気にふれて、しばらく歩いていくと、左側に少しのぼったところに「オーヴェールの教会」のモデルになった教会がある。この古い石の建物は、歴史の重みをずっしりともった、確かに一つのまとまりのある教会ではあるが、ゴッホの絵の方がはるかに魅力的だった。
 その右手の道を少し歩いたところに塀に囲まれた低地フランスがある。大小さまざまな墓の中で奥の壁に沿ったところに、弟テオの墓と並んで蔦葛の茂みの中にゴッホの墓があった。素朴な小さな墓石で、それぞれの名前と生没年、『ここに眠る』という文字が刻まれているだけのものであった。ゴッホは一八九〇年七月ニ十九日に没した。弟テオはその半年後に没している。
 墓地の左手は、「烏の群れ飛ぶ麦畑」の麦畑である。冷たい冬空の下で荒れ地のように見える麦畑も、初夏には明るい金色の波になるのだろう。広々と遠くまで見渡せて、青い夏の空の下ではきっと眩しい明るさだったと思える。
 オーヴェールから十分ほど車で戻ったところにポントワーズの町がある。ここの小高い丘の上の古い小さな城がピサロ美術館で、一九八〇年十一月に開館した。一九七五年からピサロ友の会が設立され、準備が進められていた。
 城の入口には、『ピサロ美術館、月・火休館、十四時から十八時開館』と書かれた札が掛かっている。城は二階建てで玄関を入ると二階が展示室になっている。油絵十点、ガッシュ四点、パステル、水彩、デッサン、版画などのほか、モネ、ゴーギャン、ゴッホとピサロとの往復書簡など、さまざまな資料も展示されている。  このビサロ美術館は、ポントワしスという地域の中で育まれた絵画を、ピサロを中心に一般に公開していく方針であるという。
 外に出ると域の庭が小さな公園になっていて、そこからポントワ-ズの町が見下ろせる。今見てきたピサロの淡いイエローグリーンの風景や巧みな人々のデッサンがほのぼのと眼に浮かんでくる。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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