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ローマ国立近代美術(イタリア) 2009年7月18日更新

ローマ国立近代美術(イタリア)

【和:ローマこくりつきんだいびじゅつかん
【中:Galleria Nazionale d'Arte Moderna di Roma
研究機関|>ローマ国立近代美術(イタリア)

ローマは遺跡の中にある街だ。美術館も多い。数ある教会にはキリスト教美術の名作が飾られている。当然のことだが、作品は宗教をテーマにしたもので、キリスト教を多少は理解していないと楽しみも半減する。
一九一一年に開館したローマ国立近代美術館は、ほかの美術館や教会の荘厳で重みのある絵画や彫刻を眺めたあとに訪ねると、ほっとして気持ちが和らぐ美術舘である。私たちの生きている現代にやっと戻れるからかもしれない。近代美術館の外観は、どっしりとしていて立派だ。その前庭には現代彫刻が点在している。中庭を中心にして、左側に十九世紀、右側に二十世紀美術が飾られている。正面奥では企画展が行われている。古めかしい街並みに比べて、展示場は見違えるようにモダンな空間となっている。
十九世紀美術が展示されているコーナーの中では、ゴッホの名作が見応えがある。モネ、ドガ、セザンヌらの作品も充実している。 二十世紀美術は、よりいっそう充実したラインナップを誇っている。モジリアニの「ズボロウスカ夫人の肖像」や「裸婦」、クリムトの一九〇五年の大作「三世代」、ドンゲンの「白い婦人」などが並んでいる。ジョルジオ・デ・キリコの作品が多く揃っているのも、この美術館の特色の一つである。中でも「ヘクトールとアンドロマケー」は代表作として親しまれている。モランディの作品も数多く、乳白色をベースにした彼独特のタッチは、人々をひきつける魅力に満ちている。
イタリア近代美術史の中で重要な運動であったといわれる未来派の作家たちの作品もたくさん飾られている。ジャコモ・バルラの「戦争の策謀」(一九一五)の前では、足を止めずにはいられなかった。カルロ・カラの「丸い輪からのイメージ」(一九一八)やジーノ・セベルリーニの作品にも魅了された。 ブラックのキュビスム時代の作品「ぶどうのある静物」(一九一一)やカンディンスキーの作品も飾られていた。
モンドリアンの「コンポジションA」(一九一九)、マルセル・デュシャンのオブジェ「カバンの中」(一九三六-四一)などのほか、タピエスもある。フォンタナも十点以上あり、どれもスカッとしていて、冴えた切れ味だ。  現代美術の中ではポロック、フォートリエ、アルトゥング、トゥオンブリーらの作品に興味をもった。作品の数も揃っている。
 近代イタリア美術にとって、彫刻は切り離すことができない。歴史を振り返ってみても、マリノ・マリーニ、マンズー、ファッツィーニ、マストロヤンニらの卓越した彫刻家が生まれ、数多くの作品を残した。近代美術館の中庭には、エミリオ・グレコやマスケリーニの作品が置かれている。黒と金でモザイクされた、フォンタナによる彫刻「にわとり」(一九四八)は、華やかでイタリアらしいモダンさがある。ジャコメッティやポモドーロの彫刻もあり、彼らの群を抜いた力量を知ることができる。
 彫刻は絵画と異なって、四方から立体的に眺めることができるので、それぞれに違うフォルムがある。視点を変えるたびに新たな発見があって楽しい。  イタリアの近代美術を中心に展示している美術館ではあるが、外国の作家の作品も並んでいるので、心ゆくまで美術の世界に遊び有意義な時を過ごすことができよう。好きな作家、好きな作品だけを重点的にじっくりと鑑賞しても、充実感が昧わえる美術館である。
 近くには、ヴィラ・ジュリア国立博物館(古代の作品)、ボルゲーゼ美術館もある。この三館を巡れば、古代から現在に至るまでの芸術文化の歴史の旅を楽しむことができる。 出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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