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コンセルヴァトーリ美術館とカピトリーニ美術館(イタリア) 2009年7月18日更新
【和:コンセルヴァトーリびじゅつかんとカピトリーニびじゅつかん】 |
【中:Museo dei Conservatori sd Musei Capitolini】 |
研究機関|>コンセルヴァトーリ美術館とカピトリーニ美術館(イタリア) |
ローマのカンピドリオの丘に十五世紀にミケランジェロの造った広場がある。真ん中が高くなっていて八方に広がりをみせている。その奥は市庁舎で左右に美術館がある。この二つの美術館は双子のようなもので市庁舎に向かって右がコンセルヴァトーリ美術館、左がカピトリーニ美術館で入場券は共通である。
まずコンセルヴァトーリ美術館に入る。中庭に巨大な顔、手、足がある。四世紀前半の作品だが、もとは十数メートルもある彫刻だったのであろう。「コンスタンティヌス帝の像」であるが、手だけでも人間の背丈ぐらいはある。
三階へあがると、三室に有名な「刺を抜く少年」がある。紀元前一世紀の作品なのに現代彫刻のように自然な生活感がでているのに驚く。四室には「カピトリーノの牝狼」の彫刻があり、牝狼は紀元前六世紀のエトルリア彫刻で、それにルネッサンス期のポライウォーロ兄弟が双子の兄弟をつけ加えた複合彫刻である。この双子はトロイの英雄の子孫で父によってテーヴェレ川に流された後、牝狼に助けられ、育てられ、成人してローマをつくったというエピソードがある。
入口へ戻り右へ進むと「エスクイリーノのヴィーナス」のあるオルティ・ラミアーニ・ギャラリーがある。エジプト彫刻もある。十三階には絵画館があり、ジョヴァン二・ベルリーニ、ティントレット、ヴァン・ダイク、ルーベンスなどの作品が飾られている。
反対側のカピトリーニ美術館へ行くと、以前広場の中心に置かれていた「マルクス・アウレリウス皇帝の騎馬像」が修復され、ガラス張りの室内に建っている。中庭には巨大な彫像が横たわる。三階へあがると、肖像彫刻の首ばかりの部屋がいくつも並ぶ。「哲学者の間」や「皇帝の間」には有名な人たちの顔がある。イタリアの人たちは、たくさんある首の中から自分に似た顔を写真に撮って家に飾るという。自分に似た哲学者や皇帝を探してみるのも一興である。
「瀕死のガラテア人の間」にはヘレニズム期彫刻の傑作がある。瀕死のガラテア人はいかにも苦しげである。「哲学者の間」と廊下を挟んで反対側に「ヴィーナスの小室」がある。恥じらう乙女のヴィーナスは初々しく新鮮で美しい。
この二つの美術館は彫刻を中心にした美術館である。古い歴史的な彫刻が意外に近代的な表情をしているのに思いがけない親近感を覚えた。作品の数が多いので見たいものを決めてじっくりと見ることをお勧めしたい。
中央の市庁舎の裏手には、フォロ・ロマーノ(遺跡)が広がる。コロッセオも見える。凱旋門はローマ軍が勝利を祝って行進した門である。ここでは古い歴史の雄大な風景が人々の心をとらえる。
出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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