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ヴィラ・ジュリア国立博物館(イタリア) 2009年7月19日更新
【和:ヴィラ・ジュリアこくりつはくぶつかん】 |
【英:Museo Nazionale Etrusco di Villa Giulia】 |
研究機関|>ヴィラ・ジュリア国立博物館(イタリア) |
ローマのヴィラ・ジュリア国立博物館はエトルリア芸術の美術館として世界的に有名である。
エトルリア人は紀元前八世紀からイタリアの先住民としてトスカーナ、ウンブリア地方からローマにかけて都市国家を築いたが、やがて、ローマ人により征服され消滅した民族である。しかし、エトルリア人の遺した文化が現在につながる貴重な原点となった。
建物は十六世紀半ばの教皇ユリウス三世(イタリア名ジュリオ三世)の別宅として用いられた。三階建てで奥に深く、中庭を挟んで左右に平行して回廊形に延びている。
半円形の正面入口を入り、まず左側の展示室から見ていく。小さいものから大きいものまでエトルリア芸術の最大収蔵規模を誇る美術館だけに、その作品の最も多い。したがって、いくつかの傑作に焦点を絞ってじっくり見るのも効果的な鑑賞法である。
一室にある「ケンタウロス」は半人半馬像の単純なものであるが、この作品はエジプトの影響を感じる。七室にある「ヴェイオのアポロン」は微笑をたたえた雄々しい男性像である。一九一六年にヴェイオのアポロン神殿の遺跡から発見されたという。日本の仏像にも相通じる表情をしている。
九室の「夫婦の陶棺」の夫婦像の微笑が美しい。アルカイック期(紀元前七十五世紀)の傑作といわれる。優しい夫婦愛が穏やかな安らぎを与えてくれる。
七室にある「ゴルゴンの瓦飾り」は瓦の飾りであるが、特徴のある怪物がユーモラスで可愛い。おそらく厄除けのための飾りなのだろう。
中庭を横切って反対側の回廊に出る。中庭は明るいイタリアの太陽に照らされていた。ここは古代の世界から現実に立ち戻り、しばし開放感を感じさせてくれる。
反対側の回廊には、小さな彫刻がたくさん入っているガラスケースや見事な細工の貴金属が輝いている。
三階には青銅器が展示されている。二千年以上を経た紀元前の文化でありながら、違和感なく、私たちの感性に溶けこんでくるのに驚く。歳月の隔たりを思うとき、文化の不思議さを改めて感じるのだった。エトルリア人は忽然と消えてしまった。なぜなのか。ミステリアスな謎である。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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