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ボルゲーゼ美術館(イタリア) 2009年7月19日更新
【和:ボルゲーゼびじゅつかん】 |
【英:Galleria Borghese】 |
研究機関|>ボルゲーゼ美術館(イタリア) |
ボルゲーゼ美術館は、豊かな緑に囲まれた公園の中にある。シエナの名門ボルゲーゼ家が十六世紀にローマに移住し、一六〇五年にはカミソロ・ボルゲーゼが教皇の座につき、 一族は次第に権力を拡大していった。現在の美術館は、 一六一三年から一六年にかけて造られたボルゲーゼ家の宮殿を使い、シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の所有になる古代と近代彫刻のコレクションを母体として、イタリア美術を公開している。
建物は、 一階に彫刻、三階が絵画の展示室になっているが、多年にわたって建物の修復が行われ、三階はほとんど閉められているときが多い。
一階のサロン横の一室の中央にはカノーヴァがある。「パオリーナ・ボルゲーゼ・ボナパルトの像」(一八〇五)が美しい。ボルゲーゼ家に嫁いだナポレオンの妹・パオリーナを横たわる女神ヴィーナスとして表現した大理石像は、気品があり理知的である。三室の中央にあるジャン・ロレンツォ・ベルニーニの「ダヴィデ像」は一六二三―二四年の作である。
三室にはベルニーニ「アポロンとダフネ」があり、これは彼の代表作の一つといえよう。流れる線とリズムがさわやかである。やはり、大理石ならではの繊細な美しさで、この美術館の中心的な作品である。
四室は「諸皇帝の間」と呼ばれ、ベルニーニの「プロセルピーナを略奪するプルート」があり、これもベルニーニの傑作で三つの頭をもつ犬が控えており、リアルな表現で見る者に迫ってくる。五室は広く、天井のフレスコ画が美しい。六年には、通常はニ階に展示されている絵画の名作の何点かが展示されていた。カラバッジョの「病めるバッカス」「ゴリアテの首を持つダヴィデ」「聖ヒエロニムス」「パラフェルネリの聖母」。どれも素晴らしい名品揃いである。カラバッジョは一五七三年に生まれ、一六ー〇年に没している。三十七歳の若さでこの世を去った天才である。
ニ階の絵画館にはボッティチェルリ「聖母子と聖ヨハネ、天使」、ベルジーノ「聖母子」、ラファエロ「男の肖像」、同じくラファエロ作でダ・ヴィンチのモナ・リザによく似た「一角獣を抱く女性の像」、ルーカス・クラナッハ(父)の「ヴィーナスとミツバチの巣を持つキューピッド」、ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ロレンツォ・ロットなどの名作があるが、修復中のために見ることができず残念であった。
ここは立派な宮殿で、床も天井もモザイクや珍しい大理石を使っていて美しく、こぢんまりした広さであるが、贅をつくしてあり、当時のボルゲーゼ家の威容をしのばせる。また、イタリア彫刻の巨匠ベルニーニとカノーヴァの両方を一堂に見られるのもいい。
修腹中で全部が見られないが、立ち寄る価値のある作品たちが待っていてくれる。ベルニーニやカノーヴァの傑作に対するとき、それはきっと充実した時間になるはずである。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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