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ウフィッツィ美術館(イタリア) 2009年7月20日更新
【和:ウフィッツィびじゅつかん】 |
【英:Galleria degli Uffzi】 |
研究機関|>ウフィッツィ美術館(イタリア) |
フィレンツェはイタリアの街の中でも、最も美術品の多い美しい街である。古都のたたずまいの中を散策しながら見て回るのが楽しい。ウフィッツィ美術館は、サンドロ・ボッティチェルリの名作「春(ラ・ブリマヴェーラ)」(一四八一項)と「ヴィーナスの誕生」(一四八五項)があることで有名であり、その優雅な美に憧れる人々が世界中から訪れる。美術館の天井は高く、階段数も多いので、右側にあるエレベーターを利用する方がよい。
最初の部屋には十三世紀のジョット、チマブーエらの作品がある。ジョット「栄光の聖母」は一三一〇年ごろのもので美しい大作である。ルネッサンス芸術の先駆者にふさわしい作といえよう。
次は十四世紀シエナ派の部屋で、シモーネ・マルティーニとリッポ・メンミとの共作「受胎告知とニ人の聖人」(一三二三)が見られる。金がふんだんに使われ大変に豪華で、ゴシック的優美さが感じられる。
七室は十五世紀前半のフィレンツェ派といわれるイダリア絵画の黄金時代の基礎を築いた画家たち、 マザッチオやウッチェルロ、ビエロ・デラ・フランチェスカらの作品がある。ウッチェルロ「サン・ロマーノの合戦」(一四五六項)は透視図法を用いて童話のような幻想的な雰囲気を創り上げている。この作品はメディチ家依頼の三部作で、ほかの一枚はルーヴル美術館、もう一枚はロンドンのナショナル・ギャラリーの所蔵となっている。
人生のフィリッポ・リッピ「聖母子と二人の天使」はメディチ家の別荘に所蔵されていたもので、聖母マリアの表情の繊細な美しさ、透けるヴェールの微妙なテクニックなど魅力にあふれた画面である。
続いてこの美術館の所蔵品の中での圧巻、ボッティチェルリの部屋がある。甘美でしかも憂愁を帯びた叙情的な世界が繰り広げられている。「マニフィカートの聖母」は後の円熟期の技法を充分に見せている作品である,「ヴィーナスの誕生」はメディチ家の別荘の一室のために描かれたもので「春」と同様、当時の詩人ポリツィアーノの詩からヒントを得たといわれる。エーゲ海の波の泡から生まれたというヴィーナスが帆立貝の上に立っている。風の神とニンフ、その美しさにはこの美術館を訪れる誰もが魅了される。
「春」は三美伸(夫・純潔・愛欲の象徴)、ヴィーナス、花の神、 マーキュリーが描かれ、その描写力の素晴らしさは「ヴィーナスの誕生」より私には印象深い。ここに描かれている草花はフィレンツェ郊外のメディチ家の別荘周辺にあったもので、技巧的にも大変優れている。
十五室にはレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」と「東方三博士の礼拝」がある。後者は未完成ながら、ダ・ヴィンチのデッサン力の確かさを十二分に見せてくれる。
十八室は「メディチのヴィーナス」(紀元前一世紀のギリシャの大理石像)を中心に、メディチ家の人々の肖像画が飾られている。ヴァザルリ「ロレンツォ・イル・マニフィコの肖像」が印象的である。彼はこのウフィッツィ美術館の建築の指揮もとっており、文人であり画家でもあるという多才な人であった。
続いてデューラーやクラナッハ(父)の作品が展示されている部屋、ジョヴァン二・ベルリーニやジョルジョーネ、フランドル派の部屋などを過ぎると、二五室にはミケランジェロの「聖家族」がある。力強い作品で、デッサンが実にしっかりしている。その他、ティツィアーノの名品の部屋、ティントレットの大作「レグと白鳥」の部屋、ルーベンスの部屋、レンブラントの部屋もある。
ほとんどの部屋に、天井からの自然光が入って見やすい。そしてコの字形の美術館に沿って誘導路ができているので、スムーズに四五室を回れるようになっている。何といっても、ボッティチェルリの部屋が人気が高く、たくさんの人が「春」「ヴィーナスの誕生」に集まっている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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