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アカデミア美術館(イタリア) 2009年7月22日更新
【和:アカデミアびじゅつかん】 |
【英:Galleria dell’ Accademia】 |
研究機関|>アカデミア美術館(イタリア) |
一八〇五年、かつて地中海を制圧し、アドリア海の真珠とたたえられたベニスはイタリアに併合された。それを機に公共の建物や宗教施設が閉鎖され、美術品の散逸を防ぐためにすべてがアカデミアに集められた。さらに一八○七年、十六世紀のラトラン参事会員修道院、サンタ・マリア・デラ・カリタ教会とスクオーラ(ベニス独特の制度で、礼拝堂、集会場、時には救済院をもつ慈善団体)に作品が移され、美術学校と画廊が併設された。その後、画廊が美術館として独立し、建物も次々と増築されて現在に至っている。ここに十四世紀から十八世紀までのヴェネチア派の画家の作品のほとんどが所蔵されている。ただし現在展示されているのは、コレクションの半分くらいである。
初期ヴェネチア派の宗教画から見てゆくとヴィットーレ・カルパッチオの大作「アララフト山」、ジョヴァンニ・ベルリーニの大作「聖ヨブのいる聖母子」、ティントレットの「聖母」の大作とティツィアーノの「聖ヨハネが印象に残る。ロレンツォ・ロットの肖像画「本を読む青年」は細部の描写の確かさと色の美しさに魅力があり、また机の端に描かれているとかげが、画面の緊追認を破っていてスリリングである。
ジョヴァンニ・ベルリーニの作品はかなり多く、いずれも美しいが、なかでも「小樹の聖母」が一番美しい。作品のほとんどが幼いキリストを抱く聖母マリアか、嘆きの聖母像(ピエタ)なのだが、一作ごとに趣向が凝らされていて、素晴らしい作品となっている。
ジョルジョーネの「老婆」や「嵐」、ヴェロネーゼの超大作「レヴィ家の饗宴」(一五七三)、ティツィアーノの未完の「ピエタ」も素晴らしい。ティントレットの「天地創造」の連作の一つ「動物の創造」、美しく情緒のある「アダムとイヴ」、生々しい「カインとアベル」など、いずれも大作である。またティエポロ作の「蛇の懲罰」は一三メートルの横長の超大作で他の教会の壁画だったものである。
カルパッチオの大作の修復状態を解説してあったが、イタリア語で表示されていて読めないのが残念であった。しかし、ここで発売されている厚いガイドブックは英語版もあり、ほとんどの作品に丁寧な解説がついているので、辞書のようで重宝である。
十五世紀から十八世紀へのヴェネチア派の栄光はベルリーニ、ティツィアーノ、ティントレット、ティエポロなどに代表されるだけあって、この美術館も彼らの作品をふんだんに見せてくれるのが大きな特徴となっている。ことにベルリーニは二室あり、その時代ごとの作品の比較もでき、ベルリーニを研究する人のためには嬉しいことである。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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