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ドレスデン国立絵画館(ドイツ) 2009年7月24日更新
【和:ドレスデンこくりつかいがかん】 |
【英:Dresdener Gemaldegalerie】 |
研究機関|>ドレスデン国立絵画館(ドイツ) |
ドレスデンは第二次世界大戦で大破した町であるが、見事に修復されている。しかし、ところどころ瓦礫のままの建物が残されていて、美しいものを壊した戦争の罪の深さを見る人の心に訴えている。
ドレスデンの美術館は通称ツヴィンガー宮殿の中のセンバー宮殿に古典派巨匠絵画、アルベルティーヌムの中に近代巨匠絵画が飾られている。ツヴィンガー宮殿はドイツ・バロック建築の最高傑作といわれ、ザクセン公の離宮として一七一 一年に造られた建物である。アルベルティーヌムは十六世紀の建物で、別の一画には銅版画陳列室や、「緑の丸天井」と呼ばれる宝石展示室もある。
イタリア美術では、ボッティチェルリの「聖母子」がなんといっても美しい。ジョルジョーネ「眠れるヴィーナス」も優雅である。ティツィアーノの「キリストとユダ」は描写が面白い。パルミジャニーノ「ばらを持つ聖母」もとても美しい。ラファエロフンスティーナの聖母」は品格があり優しい。ティントレットは大作も含めて五点あった。
ロレンツォ・ロットの小品もミニアチュールで楽しい。力ルロ・ソルケ「オルガンを弾く聖セシリア」もなかなかよかった。フランスの作家、ニコラ・プーサンが何点もあって優雅で美しかった。スペインのスルバランの大作もよかった。また、ベラスケス作の肖像画も何点かあるが、さすがに光っている。ムリーリョの「聖母子」の大作は穏やかである。リベーラの「聖アグネス」は髪の毛が長く美しい。
ドイツのデューラーの三部作は地味だが面白かった。ファン・アイクの小品も描写が細かくきれいだった。ホルバインの肖像画はどっしりとしていていい。レンブラントは七点飾られてあったが、どれもよかった。「花を持つサスキア」もいいが、「ガニュメデスの誘拐」の名品が眼に焼き付くほど印象的である。ルーベンスは十数点あったが、「白鳥とレダ」の大作は迫力があった。
ヴァン・ダイク「鎧をつけた人の肖像」がいい。ルーベンスとヴァン・ダイクが共に「聖ヒエロニムス」を描いているが、ヴァン・ダイクの作品は、彼がルーベンスの工房にいたころの作品である。ルーベンスの作品の方がやわらかく知的であり、ヴァン・ダイクは荒く力強い。作者の性格の違いからなのだろうか。
フェルメールは作品の少ない画家なのに二点もあった。「窓のそばで手紙を読む若い女」(一六五七頃)は光が美しい。 近代美術では、オットー・ディクスが戦争の悲惨さを描いている。ノルデ、アンソールら、個性の強い画家たちの作品も飾られていた。クリムト、ホードラー、ベックリンもあった。
フランス近代美術では、ドガのパステル画「二人の踊り子」が美しく、その前に置かれた「チュチュをつけた踊り子」の彫刻がすてきである。ロートレック「二人の女」もいい。ゴーギャン「タヒチの二人の女」は名品である。ゴッホ「梨」、ルノワール「士官の肖像」やモネの作品もあった。
マネ「ばら色の服の婦人」も素晴らしかった。見応えのあるコレクションであった。また「緑の丸天井」の宝石展示室はアウグスト大王の財宝が展示されており、宝石の素晴らしさに加え工芸品の精巧さも見事であった。一七〇〇年代初めの「インドの王の誕生日」は、これ以上の細かい細工は作れないと思った。一見の価値がある。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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