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ヴァルラフ・リヒァルツ美術館とルードヴィッヒ美術館(ドイツ) 2009年7月25日更新

ヴァルラフ・リヒァルツ美術館とルードヴィッヒ美術館(ドイツ)

【和:ヴァルラフ・リヒァルツびじゅつかんとルードヴィッヒびじゅつかん
【英:Wallraf‐Richartz Museum und Museum Ludwig
研究機関|>ヴァルラフ・リヒァルツ美術館とルードヴィッヒ美術館(ドイツ)

ドイツの古都部ケルンにある、「ヴァルラフ・リヒァルツ美術館とルードヴィッヒ美術館」は名前のとおり、二つの美術館の共同体である。まずその歴史を紹介すると、ケルン大学の教授だったフランツ・フェルディナンド・ヴァルラフが自分の誕生日を記念して、市へ所蔵のコレクションを寄付したことから始まる。そこにケルンの商人だったリヒァルツの寄付が加わり、ケルンの建築家によってネオ・ゴシック様式の美術館が一八一年に開館した。また多くの寄贈作品が寄せられ、美術館の所蔵作品はどんどん増えていった。一九四三年に建物は爆撃で破壊されたが、ほとんどの作品は疎開させてあり戦火をまぬがれた。美術館は一九五七年に同じ場所に新築され開館した。さらに一九六七年、新しい美術館を建てることを条件に三万〇点のニ十世紀美術の作品がルードヴィッヒ財団から寄贈された。結果、一づの美術館の共同体ができあがり、国際建築コンクールの末ケルンのチームが一等賞を獲得し、カテドラルとライン川の間の地に新築されることになった。美術館に併没して二千席の音楽堂も造られた。古いゴシックのカテドラルと、金色に輝く、新しい素材とデザインの美術館が不思議なハーモニーを醸し出している。
 美術館は、地下一階(ストリート・レベル)、地上二階建てで、ストリート・レベルは事務と企画展示スベースなので、常設展示は一階から上になっている。  ヴァルラフ・リヒァルツ美術館の部分で、目についた主な作品をひろってゆくと、ルーベンスの「ユノとアルゴス」(一六一一)、ムリーリョの「マグダラのマリア」、ドイツ初期絵画ではアルブレヒト・デューラーの「楽師たち」、シュテファン・ロッホナーの「最後の審判」、さらに十七世紀フランドル美術の画家では、ヴァン・ダイクの「サチュロスに扮したユピテルとアンティオペ」が感動的である。ヨルダーンスの「十字架」、ルーベンス「マントヴァの友人に囲まれた自画像」(一六〇八)、同じく「聖ヨハネ、エリザベツとや家族」、レンブラントの「自画像」、ウァン・ダイクの「婦人の肖像」もあった。
 フランスの十九世紀絵画は、ゴッホ、ゴーギャン、モネ、セザンヌ、マネ、ドガ、シスレー、ルノワール、ボナール、ヴュイヤール、ピサロ、コロー、クールベ、ルドン、ラトゥール、シャバンヌ、ドラクロアと盛りだくさんである。特にモネ晩年の「睡蓮」、セザンヌ「風景」「静物」、ゴーギャン「ブルターニュの少年」がいい。さらにモジリアニ「アルジェリアの女」(一九一七)、ブラック「レモン、果物のある静物」(一九二八)がよかった。
 そして、ルードヴィッヒ美術館の部分に行くとキルヒナー、オットー・ミュラー、ペヒシュタイン、ヘッケル、シュミット=ロットルフなどドイツ表現添加揃っている。
さらにノルデの「日没のあと」、ロシアのアヴァンギャルドを中心に、珍しいマレーヴィッチ、ゴンチャロヴァ、モンドリアン、シャガール「画家の妹の肖像(一九〇九)が目をひく。ヤウレンスキー、カンディンスキー、マックス・エルンスト、ブラックと二十世紀美術の錚々たるメンバーである。バウル・クレー、モンドリアン、アルプ、ミロ、シュルレアリストのダリ、キリコ、マクリット、タンギー、テルボー、デュシャン、ピカビアといずれも水準の高い作品である。
 また、ビカソのキュビスム、新古典、晩年までの数十点も並んでいる。この部屋だけを見にきてもいいと思う。現代美術てはジャスパー・ジョーンズ、ラウシェンバーグ、ウォーホル、ローゼンクイスト、セザール、ポロック、フォンタナ、トゥオンブリー、アルトゥング、イヴ・クラインをはじめ、国際的な作家をほとんど網羅している。
 とにかく二つの美術館が合体しているので作品の数も多く、スベースもやたらと広い。ゆっくり見ていたら一目はたっぷり費やす量である。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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