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ノイエ・ピナコテーク(ドイツ) 2009年7月25日更新

ノイエ・ピナコテーク(ドイツ)

【和:ノイエ・ピナコテーク
【英:Neue Pinakothek
研究機関|>ノイエ・ピナコテーク(ドイツ)

 ミュンヘンの町の中に「ノイエ・ピナコテーク」「アルテ・ピナコテーク」という二つの国立美術館が、広い芝生を挟んで向かい合って建っている。「ノイエ・ピナコテーク」は主に十九世紀ヨーロッパの絵画と彫刻のコレクションで、「アルテ・ピナコテーク」は十四―十八世紀ヨーロッパ絵画のコレクションが中心になっている。ちなみに、ピナコテークとは"絵画館〃という意味である。
 ノイエ・ピナコテークのコレクションの歴史は、一八〇九年、ルードヴィッヒー世(当時皇太子)が初めて近代絵画「悔悟するマグダラのマリア](フューガー作)を購入したことに始まり、一八三〇年ごろ、ルードヴィッヒー世が系統的にその時代のドイツはじめヨーロッパの芸術作品を収集していった。ルードヴィッヒー世の個人出資をもとに一八五三年にノイエ・ピナコテークは開設されたのである。展示作品はおよそ三百点にのぼる。一八六八年にルードヴィッヒー世は没したが、一八八〇年代に入って国が作品を購入し始めた。一九〇九年フーゴ・ツーディが館長となり、一九一一から一三年の間に彼は、公金では購入不可能な作品を個人として入手し、寄贈した。その中にはセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、マネ、モネらの名品が入っている。その後、一九一五年に王立から国立美術館に変わった。第二次世界大戦中に建物は破損し、戦後いくつかの作品は仮展示されたが、一九七五年に以前と同じ場所に新しい建物を建築する準備が始まり、一九八一年に開館した。外観はモダンで、向かい側の「アルテ・ピナコテーク」とは違う明るい雰囲気をもつ。
 庭にヘンリー・ムアの彫刻があり、中に入るとマイヨールが迎えてくれる。ロビーは大きな石造りで天井が高い。そこから、ゲインズボローのある一室からターナーの一八四四年の作品のある二室へと順を追って見ていく。十一室で再びロビーに戻り右へ行くと、十三室から二二室へと一回りできるようになっている。案内書の順番通りに歩くと、大きな作品を見落とすこともない。どの部屋も天井からの柔らかい自然光が投げかけられていて、木の床や落ち着いた壁は見る人に安らぎを与えてくれる。 十室がクールベ、ジェリコー、コロー、ドラクロア、ドーミエ、ミレーなどフランスの画家たちである。特にミレー「接木師」は農家の日常を描く作家らしい作品であった。ドーミエの「ドラマ」も劇を見ている観客の表情が生き生きとしていて傑作である。
 十一室にはドイツ後期のロマン主義とレアリスム絵画があり、そこを出てロビーを右へ入る。廊下のような造りになっている十二室には、マックス・エルンストの作品がたくさんあり、その他にもダリやピカソ、ミロらの作品が展示してある。なかでもミロの一九二五年作「コンポジション」がよかった。
 いくつかの部屋を抜け、十八室はフランス印象派の部屋である。ルノワールから始まりドガ、ピサロ、モネ、マネ、シスレーとおなじみの両家たちの作品が並んでいる。ドガの名品「アイロンをかける女」があった。
 十九室にはセザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンが豪華に顔を揃えている。ゴッホは彼の生涯の最後を飾る一八八八-九〇)年の作品がやはり生命の輝きがあってひきつけられる。「アルルの眺め」「ひまわり」「オーヴェールの麦畑]は、絶望して自殺するにしては、なんと明るい風景なのだろう。セザンヌは「自画像」「切り通し」など比較的初期の重要な作品が集められ、ゴッホとは対照的である。
 二一室のaの部屋には、ピカソの青の時代の一九〇三年作「ソレル夫人」かおり、上品な美しさのある作品であった。この部屋はなかなか見応えのあるものが揃っており、クレーの「ばら色と黄色」(一九二二)はピンクの色彩が可愛い。レジェの「印刷工」(一九一九)もきれいだった。その他にも、グリやブラックらの作品があった。
 ニ二室へ行くとボナールの大作「テラス」やヴュイヤールの「カフエ」、モネ『アルジャントゥイュ」などからニ十世紀初めの画家達へと移っていく。ここでは、クリムトの「マルガリットの像」(一九〇五)がとても美しい。それからフランツ・マルク、シャガール、カンディンスキー、レジェ、マチスらの作品が飾られているが、なかでも、カンディンスキーの「即興」(一九一三)とシャガールの「月光下のロシアの村」はとてもよかった。こうして、全部の部屋を回ってロビーに戻る、外へ出て建物を左へ行くと階段かおる。そこをおりると、小さい池の前に美術館のレストランがある、私もここでしばらく休息し、向かい側のアルテ・ピナコテークヘ行くことにする。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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