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アルベルテイーナ美術館(オーストリア) 2009年7月26日更新
【和:アルベルテイーナびじゅつかん】 |
【英:Graphische Sammlung Albertina】 |
研究機関|>アルベルテイーナ美術館(オーストリア) |
ウィーンのアルベルティーナ美術館は世界有数の素描と版画のコレクションを誇っている。五万点の素描と百五十万点の版画という膨大なものである。デューラー、レンブラント、ピカソから現代の作家まで多彩である。
アルベルティーナ美術館はアルベルト伯爵(一七二八-一八二二)のコレクションに始まる。彼はドレスデンの近くに生まれ、二十一歳のときにウィーンに出るが、当時の女帝マリア・テレジアに認められ、長女マリー・クリスチーヌの婿となる。第四女が悲劇の王妃マリー・アントワネットである。おそらく強き女性マリア・テレジアも身近に長女を置いておきたかったのだろう。おとなしい婿殿を選んでいる。
アルベルト伯爵は美術を愛し、ことに版画、素描に強い関心をもっていた。晩年、愛する妻マリー・クリスチーヌを失ってからはほとんど版画や素描の研究に没入していった。華やかなそして悲劇の一生を送ったマリー・アントワネットに比べ、マリー・クリスチーヌは美術を収集する夫に愛され穏やかな一生を送ったのであった。
今、アルベルティーナはオーストリアが世界に誇る美術品の宝庫として多くの人びとの訪れが絶えることがない。展示室へは階段かエレベーターであがる。
アルベルティーナ美術館は常設展示をしていない。素描、版画は常設すると傷みやすいので見たい人にだけ見せるシステムをとっている。カラーコピーした十数点の目玉作品が飾られてあり、その他は年に四回ぐらい行うコレクションからの展覧会である。いろいろとテーマを考えて、約ニカ月間ぐらい開催される展覧会は教育的であり、美術になじみの薄い人にもわかりやすく好評である。素描や版画という地味な分野の美術展にもかかわらずたくさんの人が訪れていた。おそらくアルベルティーナの展覧会はいつも評判がよいのであろう.
入口にある売店にはポストカードが少しあるだけで、あまり資料が整っていないのが残念であった。
研究室の方はすてきな城の一室に版画のリストがあり、見たい版画を注文すると見せてくれる。これもとてもリッチなひとときである。
城のたたずまい、作品のあれこれを見ていると、アルベルト伯爵とマリー・クリスチーヌ妃は夫婦として本当に豊かな人生を送られたのだなと思う。
建物はオペラ座のはす向かいにあり、二階にバルコニーのようにはり出した庭がある。ここへは外からも階段でのぼれるので、若者たちのいこいの場所となっていた。このバルコニーの庭からオペラ座とウィーンの街並みを眺めるのも楽しい。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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