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ベルン国立美術館(スイス) 2009年7月27日更新
【和:ベルンこくりつびじゅつかん】 |
【英:Kunstmuseum Berm】 |
研究機関|>ベルン国立美術館(スイス) |
スイスの首都ベルンは美しい町である。雄大なインターラーケンヘの登山口としても有名である。ベルン国立美術館は、ベルン駅から徒歩でも五分ほどのところにある。
美術館の建物は、一八○七年の開館当時からの旧館と、 一九三六年に建てられた新館が内部でつながっている。地下にはクレーの部屋が五部屋並んでいる。これはクレー財団の所蔵品で別料金になっていた。油彩と水彩だけで六十点くらい飾られ、その他デッサン、版画もある。
「画家の姉」は小品だが、古典的技法で描かれていて美しい作品である。一九一〇年の「裸の女」にはクレーの特徴がすでに出ている。ガラスケースの中には一九〇五―○九年ごろのデッサンが入っていた。一九二三年ごろから一九三五年ごろまでの作品群、石膏のオブジェと並び、一九三七年から三九年ごろの色合いの強いバックに黒い輪郭線のダイナミックな構図の作品へと続く。一九三七年から四〇年の作品群で、横長の大きい作品「インスラ・ドゥルカマーラ」の春のような美しさにみとれてしまった。その奥は水彩画が多く、一九三九年から四〇年の作品が並べられている。いずれの部屋も木の床、白い壁、白い天井ですっきりしている。
一階へあがるとスイスの代表的な画家の一人、フェルディナント・ホードラーの部屋が三室ある。ここはグレーの絨毯に同じように白っぽいグレーの壁である。大作が多く、「夜」(一八八九―九〇)や「ルーカスの友人たち」(一八九ニ)は黒白の感じで絵が物語風になっていて面白い。
新館の展示室は、ロートレックの「ナタンソン夫人とピアノ」(一八九七)から始まり、ヴュイヤール、ボナール、ヅァラドンと続く。マチスの「ピアニストと静物」(一九二四)がいいが、大作はない。この部屋にあるボナールの「庭」(一九一四)はよかった。ルノワールの晩年の作品四点、セザンヌの「帽子をかぶった自画像」(一八八七)やゴッホ「ひまわり」(一八八五)も心に残った。ドガ、マネ、モネ、クールベ、セザンヌと続き、ミレーの八十号の大作「フリードリッヒ・ワーナーの肖像」(一八四五)が目につく。ミニアチュール、十八世紀から十九世紀、十四世紀から十六世紀の宗教画へと続く。
新館は中央が吹き抜けになっている。吹き抜けを二階へあがると、素晴らしいモジリアニの「裸婦(エルヴィール)」(一九一八)と「クレメンの肖像」(一九一六)がある。
ピカソの「座る女」(一九二二)、「母と子」(一九〇一)、「まどろむ酒のみ女」(一九〇ニ)と晩年の作品。キュビスムのブラック、グロ、ピカソなどが十数点、レジェが六点、ル・コルビュジェと並んでいる。
シャガールの「フィアンセに捧ぐ」(一九一一)の赤の強い大作が目をひく。ドイツ表現主義では、キルヒナーの大作、カンディンスキー、フランツ・マルク、アウグスト・マッケとミュンヘンの「青騎士」の仲間たちである。特にカンディンスキーの一九一三年の「コンポジションのエスキース」や一九二四年作の「過去」などは圧倒的な迫力である。抽象の部屋にはアーチペンコ、アルプ、モンドリアン、ベン・二コルソンと大御所が並んでいる。
シュルレアリスムの、マックス・エルンスト、マッソン、メレット・オッペンハイムや、マグリット「旅の思い出」(一九五五)、ダリ「ミレー『晩鐘』より」(一九二三)、キリコ「神」(一九一五)とどれも各作家の持ち昧がよく出ている。そして、現代美術では、ポロック、フランク・ステラ、マーク・ロスコやニコラ・ド・スクール、デュシャン、フォンタナなどを揃えている。ちょっとクレーを見たいと思って訪れたのに、収蔵品の内容の豊富さと質の高さにびっくりした。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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