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チューリッヒ市立美術館(スイス) 2009年7月28日更新

チューリッヒ市立美術館(スイス)

【和:チューリッヒしりつびじゅつかん
【英:Kunsthaus Zurich
研究機関|>チューリッヒ市立美術館(スイス)

 チューリッヒ市立美術館は町の中心から坂をのぼりつめたところにある。このあたりは画廊が多く、有名な絵画レストラン「クローネンハレ」もこの近くにある。
 建物は三階建てで一階はロビー、コーヒーショップ、企画展示室が少し、二、三階が常設展示室であり、思ったよりは大きい美術館であった。前庭にはロダン、ヘンリー・ムアなどが置かれている。
 二階にあるアルノルド・ベックリンの幻想的な大作「戦争」が迫力に満ちている。ホードラーもスイスの作家だけに二部屋にわたって展示されている。ブルーの画面の中にきらきらと光る個性が感じられる。「聖なる時I」「貝Ⅱ」が印象に残った。十八-十九世紀の作品に加え、レンブラント「キリストの使徒シモン」やルーベンスなどもみられる。イタリアのグァルディ、スペインのエル・グレコもあった。エル・グレコ「シャルル・ド・ギルの肖像」は大作で素晴らしい。ヤン・ブリューゲル、メムリンク、ヴァン・ダイクもある。
 さらに進むと、一番奥に明るい空間がある。現美術館の部屋である。デュビュッフェ、モンドリアン、ブランクーシの彫刻、ミロの彫刻などが眼をひく。また、アメリカの現代美術もジャスパー・ジョーンズ、ウォーホル、ロスコ、リキテンシュタイン、ラウシェンバーグ、ポロックとすべてが揃っている。
 中二階はベーコンの三部作などがあり、三階はジャコメッティの彫刻と絵画が、思いがけなくたくさん置かれているのに驚く。素晴らしいコレクションである。この他、ジャコメッティの父や叔父の作品も美術館にはある。
 そこから、ピカソの部屋に入る。まず、エッチングのシリーズ、そして油絵の、それぞれの時代の代表作が目白押しに掛けられている。「アルルカンと娘」(一九一八)、「横たわる女」(一九一〇))、「女の半身」(一九〇七)のアヴィ ニヨンの女たちの時代と貴重な作品群である。その他、モジリアニ、ブラック、レジェ、グリ、ドガにドランやヴラマンクのフォーヴ時代の作品もピカソに続いてみられる。ここにはマチスの彫刻もかなりある。
 シャガールの部屋もあり、「ヴィテブスクの上」(一九二二)、「誕生」(一九一〇)などの初期から晩年までの作品がある。クレーの部屋、カンディンスキーの部屋と、作品が揃っいて楽しみは尽きない。
 シュルレアリスムの部屋には、ダリ、ミロ、タンギー、マグリット、マックス・エルンスト、キリコ、マッソンと巨匠たちが並んでいる。ミロ「コンポジション ー九二五」が私は好きである。
 ダダの部屋にもミロ、マン・レイ、ピカビア、アルプなどが展示されている。表現主義の部屋ではムンクの大作が十数点、その他ベックマン、ココシュカもみられる。
 最後にゴッホやモネの部屋へ行く。ゴッホが数点、セサンヌ数点、モネは「睡蓮」の大作をはじめ、ロンドンの「国会議事堂」や「ベニス」「積み藁」など、いずれも素晴らしい名品揃いである。セサンヌ「骸骨のある静物」やゴッホ「サン・レミ」など素晴らしい。ボナールやヴュイヤールもいいものがある。 さすがで国土は挟くても金持ちの国スイスの美術館である。ロビーにあるコーヒーショッブからは中庭が見え、ミロの壁期画もある。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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