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バーゼル市立美術館(スイス) 2009年7月28日更新
【和:バーゼルしりつびじゅつかん】 |
【英:Offentliche Kunstsammlung Baseh,Kunstmuseum】 |
研究機関|>バーゼル市立美術館(スイス) |
バーゼルはスイスの中でも地味な町である。しかし、美術館はバーゼルの方が有名で、素晴らしい作品がここに集まっている。列車でチューリッヒから一時間、ジュネーブから三時間ちょっとで、ほぼ一時間ごとに列車が出ている。駅から歩いて十分くらいのところに石造りの堂々たる構えのバーゼル市立美術館がある。
建物は回廊形になっており、外側からは教会とも宮殿とも見える。門を入ると中庭に出る。まずぶ正面にロダンの「カレーの市民]があり、アルプの一九六一年作の作品などが置かれている。ステンド・グラスのはまった玄関を入ると真ん中に大きな階段がある。クロークの横の階段をのぼると、途中の踊り場にロダン作の「大きな影(一八八〇)が置かれていて、その左側に展示場がある,つまり中二階である。二階へあがる途中のが右には、エゴン・シーレの一九一二年の作品とクリムトの一九一四年の作品がある,二階のホールにはロダン三点、マイヨール一点、マチスの「アカンサス】の模様画がある。
このホールから右寄りの方へ進むと、ゴーギャンのある部屋へ出る。どの部屋も床は木で、壁はグレーで統一され、窓から入る自然光と蛍光灯を併用している。ゴーギャンは七点飾られていた。その中で一番素晴らしいのが「タ・マテーテ(市場)」、一八九二年作のタヒチの女達を描いた作品。「ナフェア・フォア・イポイポ(いつ結婚するの?)」、やはり一八九二年作のタヒチの二人の女を描いた作品である。共に三十号から四十号ぐらいで色も美しい。ゴーギャンがタヒチに行った翌年の作品である。
次の部屋に入るとすぐ右側に、スーラのデッサンー,散歩する入」がある。この部屋はセザンヌの作品が多く八点あった。「サント・ヴィクトワール山」「静物」もいいが、「五人の水浴する女たち」二八八五-八L)は六五・五センチの正方形で私は好きである。
その隣りがゴッホを中心とした部屋で、やはり七点ぐらいあった。「自両像」(一八八七)、「ガッシェ嬢とピアノ」 (一八九〇)もいいが、私の興味をひいたのは「ドービニーの庭」(一八九〇)である。
さらに進むと、ここはドガが中心である。「落ちたジョッキー」(一八六六)は飛び跳ねる馬と、落とされたジョッキーのバランスが面白い。次はモネとピサロの部屋である。モネは六点ぐらいだが、雪の光景がよい。ピサロは三点のうち「ポントワーズ」がいい。中庭に面して廊下のような展示室があり、スイス出身の画家ホードラーの作品が十点以上飾られていた。晩年の絵は簡素化され色も明るくなっている。十八-十九世紀のスイスの画家などの作品がある部屋の横はアルノルド・ベックリンの四十点ぐらいのコレクションである。
印象派の作品の並んだコーナーの反対側は、十七世紀のヨーロッパ絵画が主で、レンブラント、ブリューゲル、エル・グレコなどがある。その横の三部屋はハンス・ホルバイン(十六世紀にバーゼルに住んでいた)の大小の油絵とデッサンのコーナーである。
三階のホールには現代作家の大作がたくさん並んでいる。まず右側の部屋にピカソの初期から晩年に至る粒よりのコレクションがある。なかでもばら色の時代の「兄弟」(一九〇五)や新古典の時代の「座るアルルカン」(一九二三)などは圧巻である。続く部屋のマチスの「マニラ・シャレーを着たマチス夫人」(一九一一)が私は好きである。
シャガールの部屋もある。特に大作「馬車にのる人」(一九一二)は濃いピンク、黒、ブルーが使われたすてきな絵である。「黒手袋の私のフィアンセ」もいい。二十二歳のシャガールと最初の夫人ベラとの恋の最中の作品である。レジェの最もよき時代の作品、カンディンスキー、クレー、モンドリアン、ジャスパー・ジョーンズなど、だんだん現代の作品に移行してゆき、古い時代のものから現代までたっぷりと楽しませてくれる。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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