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ルイジアナ美術館(デンマーク) 2009年8月2日更新
【和:ルイジアナびじゅつかん】 |
【英:Louisiana Museum of Modern Art】 |
研究機関|>ルイジアナ美術館(デンマーク) |
ルイジアナというとアメリカを連想するが、コペンハーゲンの北三五キロの海辺にある。電車で三十分、フムルベック駅で下車して徒歩十分、またはコペンハーゲン空港からタクシーで四十分で着く(コペンハーゲンからの電車代と入場料がセットになったチケットがある)。
ルイジアナとは創立者の夫人ルイザの名前からとっており、主に二十世紀美術のコレクションを有している。建物は何度か増築を重ねて現在に至っている。
門を入ると、田舎の家のようなたたずまいの建物があり、前庭にはヘンリー・ムアの作品が二体置かれている。ここが一番初めの建物でここを中心に左右にモダンな回廊や展示室が延び、海の近くのレストランで合流するようになっている。海に向かって広い芝生の庭があり、その景観を損なわないために、一部は地下を利用した大きな展示室と回廊になっており、雨の日でも建物の中を一周できる。また、地七の回廊もガラス窓を大きくとってあり、庭の自然と一体感がある。といっても、”囲まれた美術館”という感じではなく、自然の緑の中で美術品を見る雰囲気がここにはある。
玄関を入ったところは切符売り場になっていて、そこを通るとミュージアム・ショップを兼ねたロビーがある。右へ行くとコンテンポラリーの作品評の常設展示室が続く。すぐ左に小部屋があり、ここはアシャー・コレクションのマレーヴィッチの水彩画、デッサンが飾られ、ポポワもあり、小品群で照明も薄暗くしてあるが、興味深いコレクションなので見落とさないようにしたい。
広い展示室は次々とつながっており、モンドリアン、チリダ、デュビュッフェ、ベーコン、タピエスから始まり、一面にフォンタナの赤、アルミや布の作品群が並べられたり、イヴ・クラインのピンク、金、青の連作が飾られていたりして、展示方法も見事で楽しませてくれる。カンディンスキーの一九二九年の作品もあり、セザールの等身大の指の作品、リキテンシュタインの大作、ジム・ダインの大作、ウォーホル、ラウシェンバーグなどが印象に残った。
コンテンポラリーの作品を楽しみながら行くと、階段があり、その上に図書室がある。ここには休憩室もあり、これが素晴らしい。海が見え、開放的な部屋で疲れた頭を休ませてくれる空間である。 ここから、さらに行くと地下の回廊と展示室に出る。展示室は広く、企画展示をやっている。回廊にはジャスパー・ジョーンズの版画やサム・フランシスの水彩画などが飾られている。階段をのぼると、レストランである。外にも椅子とテーブルが出ていて、全部で三百席くらいある。セルフ・サービスで明るく気分がよい。この隣りにコンサートホールがある。ここにはサム・フランシスの大作があった。そこから反対側の回廊を行くと、ピカソや数多くのジャコメッティの作品がある。池に面した展示室での展示方法にも気配りが感じられる。そこから企画展示室を通ってロビーに戻ることもできる。
近代建築で明るくモダンであり、所々に段差があって変化に富んでいるが、エレベーターが随所にあって、お年寄りや車椅子の方にも便利である。建物のどこからでも庭に出られ、飽きさせない。また、格式張らずリラックスして作品を見られるので、コンテンポラリーにも親しみが湧く。自然との調和が見事なので一日ゆっくり楽しむ入場者も多い。
すてきな美術品に囲まれ、ゆったりとした一日を送るのは現代の贅沢である。ルイジアナ美術館は、訪れる人に気持ちのゆとりと満足感を与えてくれる貴重な美術館であった。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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