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ワルシャワ国立博物館(ポーランド) 2009年8月3日更新
【和:ワルシャワこくりつはくぶつかん】 |
【英:Muzeum Narodowe w Warszawie】 |
研究機関|>ワルシャワ国立博物館(ポーランド) |
ポーランドの首都ワルシャワは、第二次世界大戦でナチスの侵攻により激しい市街戦が展開され、市内の八割以上が破壊された。戦後は安普請の建物が立ち並び、かつて北のパリと呼ばれた面影はどこにもない。ちょうど戦後十年か二十年ころの東京の町のようで、店頭に並んでいる品物もそのころと同じように時代遅れである。そうした中で、町の一部を復元して古い街並みを保存している旧市街に行くと、ほっと一息つけ散策を楽しむことができる。
政治、経済の大きなうねりの中で国立博物館はひっそりと建っていた。一八六二年に建設され、一九一六年に国立博物館となった。
ロビーは大理石造りでなかなか立派な建物である。一階右には十四-十五世紀の祭壇画、宗教絵画、宗教彫刻が並べられ、一階左では現代作家の展覧会をやっていたが、抽象画の多いのが目についた。二階にもポーランドの現代作家の展示場がある。この二階の奥に十五―十六世紀の外国作家の部屋が続く。ボッティチェルリ「聖母子像」は美しく印象に残る。聖母マリアの柔らかい表情と天使、背景に描かれたばらの花とが豪華なハーモニーを創り出している。
ベルリーニ「ロレンツァの肖像」も黒い地色に鋭い描写が光る。ティントレットも数点あったが肖像画が素晴らしいと思われた。パリス・ボルドーネはなじみのない画家であったが「ヴィーナスとキューピッド」が美しかった。カナレットの風景があり、ティエポロの小品も飾られていた。
中三階にはポーランドの古典作品があり、なかには壁いっぱいの大きな作品もあった。三階へ行くと、奥に外国の十六世紀から二十世紀の作品が展示されているところがある。
レンブラントが二点ある。どちらも小品で肖像画と自画像であった。ヘラルト・ダウの「レンブラントの母の肖像」がよい。ピュビ・ド・シャバンヌのパステル画二点が対になっていて美しかった。ポール・セリュジエが何点もあった。アマン=ジャンも懐かしい画家で、日本にもだいぶ昔から作品が来ていたが、ここでは「裸婦」を見ることができた。セガンティーニの小品、ルノワールの風景の小品、ドービニーの風景とあるが、いずれもとびきりの名品とはいいがたい。ジェリコーの「裸の男」はいい作品だが、保存状態が悪く画面がひどく傷んでいるのが気になった。ヴラマンクのわりと初期の作品「静物」と「風景」もあった。
この博物館は中央が吹き抜けになっており、中二階、中三階もあるので歩き方によってはかえってわかりづらく、肝心な作品を見落としてしまいそうである。ポーランドの画家の作品もたくさん展示しているので部屋数も結構多い。
出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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