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ブルックリン美術館(アメリカ) 2009年8月5日更新
【和:ブルックリンびじゅつかん】 |
【英:The Brooklyn Museum】 |
研究機関|>ブルックリン美術館(アメリカ) |
ニューヨークのブルックリン美術館はマンハッタンから車でおよそ三十分、ブルックリン橋を渡ってもいいし、あるいはブルックリン・トンネルを通っても行ける。また地下鉄でも、イースタン・パークウェイ駅でおりてすぐの便利なところにある。一八九七年に開館したこの美術館は、現在二百万点近い所蔵品をもつアメリカ有数の美術館である。五階建てのビルに、エジプト美術、アジア・中近東美術、衣装、布地、装飾美術、絵画、彫刻など、そのコレクションは多岐にわたり、幅広く世界の美術を一堂に集めている。
美術館の入口の突き当たりのエレベーターで五階へあがると、アメリカ絵画が展示されている。デ・クーニングの「女」(一九五三)は力強い作品である。ロスコの水彩画もよかった。ラリー・リヴァースやミルトン・アヴリイも面白い。続く部屋はアメリカ絵画における十九世紀末からニ十世紀初頭の作品が並べられている。その隣りにカントー・ギャラリーとしてカントーの寄贈したロダンの彫刻五八点が展示されている。この部ほは中央部分の天井が高く、自然光が射し、静かな音楽が流れてとてもよい雰囲気である。作品にも解説がついていてロダン芸術が勉強できる。
ヨーロッパ絵画の部屋は十四世紀イタリア・ルネッサンスから始まる。スペインのりベーラ、イギリスのローレンスなど、優れた作品がある。近世になるとミレー、コロー、ドラクロアと並び、フランス美術が多い。ドガの大作「バレエ〈泉〉のE・F嬢」は素晴らしかった。デュフィ「モーツアルトヘのオマージュ」、セザンヌ「静物」、モネ「国会議事堂」と「デュカル宮殿」、ブラック「静物」など印象に残る美しい作品群である。
四階は装飾美術で、ニ八室に分けて展示され照明も適当な暗さで、それぞれの時代の各国の室内が再現されていて面白い。またガラスや陶器、衣装も展示されている。 三階はエジプト美術で十室あり、ネフェルティティ(古代エジプトの王・アケナトン王の王妃)のレリーフや紀元前三五〇〇年のテラコッタの「女性像」もモダンで美しい。この美術館は一九〇六年から現在に至るまで、カルナックの南で発掘を続けているだけあって、エジプト美術は質的にかなり高度なコレクションとなっている。
二階はアジアと中近東の部屋で、ここに日本美術がある。古伊万里、十八世紀九谷焼、十七世紀鍋島、屏風、日本画、根付などから魯山人の作品まである。カタログによると写楽の浮世絵もコレクションにあるようだ。五―六世紀の日本の埴輪も素晴らしい。韓国、中国美術もある。
一階へ戻ると、アフリカ、オセアニア、ラテン・アメリカ美術があり、これらも興味深い。 この美術館は一九九三年十二月に新しいウイングがオープンする。磯崎新とアメリカの建築家の合同設計による大きなプロジェクトで、これが完成するとブルックリン美術館は名実共に充実したものとなる。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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