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イサム・ノグチ・ガーデン美術館(アメリカ) 2009年8月6日更新

イサム・ノグチ・ガーデン美術館(アメリカ)

【和:イサム・ノグチ・ガーデンびじゅつかん
【英:Thi Isamu Noguchi Garden Museum
研究機関|>イサム・ノグチ・ガーデン美術館(アメリカ)

イサム・ノグチは一九〇四年、詩人の野口米次郎と作家で教師のレオニー・ギルモアを父母としてロサンゼルスに生まれた。二歳のときに家族と共に東京へ移り住み十三歳まで日本で教育を受け、そのあと再び渡米している。青年期はアメリカで教育を受け、彫刻の勉強をし、ニ十ニ歳のときにジョン・サイモン・グッゲンハイム奨学金を得て、パリに留学しブランクーシのアトリエで働いた。その後はニューヨーク、パリ、北京、メキシコ、日本と各地で活躍し、一九五二年に神奈川県立近代美術館で個展を開き、一九六八年にはホイットニー美術館で回顧展、一九七七年にはニューヨーク近代美術館で個展を開いている。そして、一九八六年のヴェネチア・ビエンナーレのアメリカ代表となった。
 大きな作品はアメリカを中心に世界各地でつくられているが、日本でも座礁大学の庭園設計、広島の橋、大阪万国博覧会場の噴水彫刻、草月会館のロビー「花と石と水の広場」の設計がある。
 美術館はマンハッタンから車で三十分、もともとは作品を収納する倉庫だったのだろう、煉瓦を白く塗った外観は少し殺風景だが建物の中に入るとガーデン美術館といわれるだけあって、聞かれた空間になっている。室内なのに木も植えてあり、建物の中というより天井のあるオープン・スペースという感じで、そのまま庭へとつながっているのが面白い。その空間の広がりに大きな石の彫刻が何体も立っている。空間をおごそかに石が独占しているのだ。オープン・スペースに二十体、庭に二六体が飾られている。
 三メートル大の「ヴィーナス」(一九八三)は大きくて美しく、私の好きな作品である。郷愁をさそう「阿波踊り」(一九八三)もある。大理石の「昼の太陽」(一九六九)が美しい。金属のもの、黒い石から白い石とバラエティに富んでいる。-広島一九五二として「原爆の死の記念」(四分の一大のアルミプレートの作品)が置かれている。
 グレーの鉄の階段をのぼると。"イサム・ノグチの模型と写真を使っての回顧展覧思わせるスペースになっていて、一九三五年からの舞台装置の模型、一九七五年のアトランタの庭の模型、ニューヨーク郊外の彫刻の森にある。「桃太郎」(一九七七)の写真、日本の四国・高松にあるスタジオの庭の写真などが展示されていて、イサム・ノグチの発想や造形をさまざまな角度から知ることができる。
 具象的な初期の作品では、「死」(一九三四)の異様な首つり像とか、肖像彫刻「つねこさん」(一九三一)などがある。最後の部屋は「あかり」で、日本の行燈を近代化したものをいくつもつくっている。小さな美術館なのに、内容は充実していて、見応え充分である。イサム・ノグチを知るのにこれほど最適の場所はないであろう。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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