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ナショナル・ギヤラリー(アメリカ) 2009年8月6日更新
【和:ナショナル・ギヤラリー】 |
【英:National Gallery of Art】 |
研究機関|>ナショナル・ギヤラリー(アメリカ) |
一九三七年、ワシントンDCにナショナル・ギャラリーの建物が完成した。ピッツバーグ出身の大銀行家アンドリュー・メロンが、その素晴らしいコレクションと共に美術館の建物も寄贈するにあたり、メロンの要望でロンドンのナショナル・ギャラリーをお手本にしてつくられた。ここにクレス・コレクションも加わり、一九四一年三月十七日に開館した。
その後、チェスターデール・コレクションがこの美術館に収められ、メロンの家族も積極的に寄付をし、内容がますます充実していった。アメリカの美術館は、税制の優遇措置として人々に寄贈を促してきた歴史があるが、最近は作品群も充実してきたので優遇措置にも制限がつけられ、寄贈が減っている状況である。
ナショナル・ギャラリーは一九九一年、開館五十周年にあたった。その記念の年、一九九一年の一年間を昔のように作品の市価で税金を優遇すること(作品を物納することで、税金を納めたと判断し、その価値は、購入時の価格ではなく、現在の市場価格で決めるという措置)を政府は許可した。その結果、なんと三百四十点以上の作品の寄贈を受けたという。ナショナル・ギャラリーの西館はロンドンと同じく、どっしりとした大理石の建物である。外観は薄いピンクの大理石、内部は緑やグレーの大理石を使っている。展示室は一階が百室近く、地下も四十室ある。絵画はイタリアが十三世紀から十八世紀、スペインは十六世紀から十九世紀、オランダ、フランドル絵画が十七世紀、フランスは十七世紀から二十世紀、アメリカは十八世紀からが主に展示されている。彫刻も加えて膨大なコレクションである。名品揃いなので、どれというのが大変難しいが、レンブラント「自画像」、フェルメール「秤を持つ女」、マネ「サン・ラザール駅」、ゴーギャンのタヒチ時代のもの、モネ「ベニス」、セザンヌ「画家の父」など私の好きな作品が強く印象に残った。
一九七八年に完成した東館には、主にニ十世紀美術が入っている。また、企画展示も行われている。四階建てのモダンな近代建築で地下で西館につながる。ロビーは吹き抜けで、カルダーの大きなモビールが吊り下げられており、西館と異なり明るい空間である。ここではなんといってもピカソのコレクションが素晴らしい。「サルタンバンクの家族」は大作で一九〇五年に制作された。「扇を持つ女」も青の時代の傑作である。「恋人たち」もいい。
その他名品が目白押しである。ミロ、マチス、モンドリアンなどもよかった。西館と東館をつなぐ地下のコンコースの一部は、地下にガラスのピラミッド形の明り探りが作られ、明るい日射しが入るようになっている。レストランもこの場所にあり、四百席以上あるのでいつでも自由にくつろげる。
税制の優遇によってお金持ちに寄贈させたアメリカ政府の考え方は、現在の美術品の価値を考えると素晴らしいアイデアだったと思う。ロンドンのナショナル・ギャラリーに劣らないコレクションがここにはある。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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