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フィラデルフィア美術館(アメリカ) 2009年8月6日更新
【和:フィラデルフィアびじゅつかん】 |
【英:Philadelphia Museum of Art】 |
研究機関|>フィラデルフィア美術館(アメリカ) |
フィラデルフィア美術館は、街の西側を流れるスクィルキル川のほとり、フェアマウンド公園の中にある。この美術館は一八七三年に記念ホールとして計画され、一八七六年に改めて美術館となったものである。現在の建物は一九二八年に完成したギリシャの神殿様式にローマの様式を採り入れた二階建ての建物で、屋根に中国瓦を使っていて、外観も美しい。ここには二百室の展示場があり、五十万点の作品が飾られている。
まず最初に入った部屋は、ジョンソン・コレクションで十五世紀フレミッシュ絵画が主である。ファン・アイク「聖フランシスの恥辱」がひときわ目をひく。この美術館は年代や作品の傾向に従って展示しているのではなく、寄贈者別に一部屋ずつ飾られているのが特徴といえる。今ピカソの作品を見たと思うと、ずっと離れた部屋にまたピカソがあったりする。
一階の二十世紀美術のコーナーの中では、ガラティン・コレクションがよい。ピカソの一九二一年作の有名な「三人の楽士たち」やミロの「月に吠える」の二点はおなじみの名品である。レジェの「街」、ブラック、アルプ、ブランクーシ、キリコ、デュシャン、カンディンスキー、モンドリアン、スーラなど作品は多彩である。アレンスバーグ・コレクションの部屋にはブランクーシの楽しい「キッス」の石の彫刻、マチスの素晴らしい作品「魚のマジック」をはじめとして、一九一〇年から二〇年代のクレーの数々の作品群、ブラック、ダリ「ゆでた豆と柔らかい構造」、ルソーの「愉快な道化者」など優れた作品が並んでいる。シャガールの「三時半」はキュビスム風の大作である。
アレンスバーグは友人マルセル・デュシャンの協力によって当時活躍し始めていたアバンギャルドの作家たちを中心に近代絵画を二百点収集し、一九五〇年にそれらを美術館に寄付したのである。ここでは、数多くの二十世紀初めの名作に出会うことができる。
二階にあがると、まずカルダーの大きなモビール「ゴースト」が目に入る。一八七〇年ごろのヨーロッパ絵画のところには、セザンヌの大作「大水浴図」がある。最晩年の作品で大きさも二百号、堂々たる迫力に満ちている。この作品は一九三七年に美術館が寄金を集めて買ったものである。ここにはチェスターデール・コレクションなど名品揃いの九点が飾られている。モネ「ポプラ」、セザンヌ「サント・ヴィクトワール山」もいいし、マネ「カルメン姿のアンプル」、ゴッホの「マダム・ルーランと赤ちゃん」など素晴らしい。タイソン・コレクションの部屋にはゴッホ「ひまわり」、マネ・「おいしいビール」、ルノワールの百行の大作「水浴」、美しいモネの作品「太鼓橋と睡蓮」、セザンヌ「デザート」など傑作が集まっている。
スターン・コレクションには、ルソーの「カーニバルの夜」、セザンヌの「セザンヌ夫人」、ボナールもある。四号ぐらいのシャガールの「自画像」は若き日のシャガールをほうふっとさせて興味深い。また、二階には各国の古い部屋がそっくり再現されている。日本のものは、十四世紀の奈良の勝福寺の御堂が再現され、数寄屋造りの茶室もその隣りにある。フィラデルフィア美術館は、名品が多く素晴らしい展示内容であるが、それと共にそれぞれのコレクターの底知れぬ財力を痛感させられる。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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