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ボストン美術館(アメリカ) 2009年8月7日更新
【和:ボストンびじゅつかん】 |
【英:Museum of Fine Arts , Boston】 |
研究機関|>ボストン美術館(アメリカ) |
ボストンは十八世紀中ごろにできた港町である。当時、英国からの船がこの港に着き、次第に町が形成されていったために町全体の建物は英国風の趣をもっている。
ボストン美術館はハンティントン通り四六五番地にあり、古いどっしりとした本館に、一九八一年に増築された近代的な新館が続いている。アメリカで最も古い美術館といわれるだけに、中国、インド、メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ヨーロッパ、アメリカ美術と、そのコレクションの範囲も広く多彩である。美術学校部門もあり、一八七六年に開校され、日本にもなじみの深いフェノロサ教授(一八五三-一九〇八)や、彼に連れられて日本から渡った岡倉天心(一八六二ー一九一三)も、ここの教壇に立っている。
表玄関を入り、階段をあがると吹き抜けになっており、その両側にフランス近代美術のコレクションがたくさんあった。モネが十数点、ゴーギャン五点、セザンヌ四点、ゴッホ三点、ドガ三点、ルノワール三点などだが、一番感激したのはゴーギャンの「我々はどこから来るのか?我々は何者なのか?我々はどこへ行くのか?」(一八九七)の大作(一・三九メートル×三・七四メートル)である。
この絵は一八九七年、ゴーギャンが自殺(未遂)を図る直前の絵である。ゴッホの「マダム・ルーラン」(一八八九)、「郵便配達夫ルーラン」(一八八八)、ルノワールの「ブージバルの踊り」(一八八三)の大作、モネの「日本娘」はモネの最初の夫人が日本の着物をまとい、扇子を持って立っている図で、背景には団扇がたくさん描かれている。ルーアン大聖堂を描いた「夜明け」や「積み藁」などは、淡い色合いがとても美しい。この美術館のフランス近代絵画の中でも、モネの作品のコレクションは質、量ともに優れたものである。
おびただしい数のミレーがあり、「たそがれ」(一八五九-六三)、「冬の夜」(一八六七)のパステル画が特に素晴らしい。また、コロー、ドラクロアなどと共にイギリスのコンスタブル、ターナーがある。ターナーの「どれい船」(一八四〇)は、一・ニメートルほどの大作だが、ターナーの晩年の名作で、抽象画のような画面の処理が見事である。ベラスケスの「カルロス皇太子と小びと」(一六三二)はイタリア・バロックの影響が見られる。レンブラント「アトリエの画家」(一六二八-二九)は二十歳代の作品だが、はやくも巨匠の風格が漂っている。ジェリコー、ティツィアーノ、ワトー、プーサンの作品もある。またゴヤ「茶色のコートを着た男の肖像」は見応えがあった。
ギリシャ、エジプト美術の紀元前のコレクションを通って、中国の部屋へ行くと紀元一世紀から八世紀ごろの壁画、絵画、焼き物、調度品が並べられていて面白い。日本美術はフェノロサや岡倉天心の助言もあったのだろう、かなり体系的に集められていて充実している、「平治物語絵巻」の合戦図などの屏風絵、そして狩野常信、直信など、狩野派の作品が目についた。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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