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スターリング&フランシーヌ・クラーク・アート・インスティチュート(アメリカ) 2009年8月7日更新

スターリング&フランシーヌ・クラーク・アート・インスティチュート(アメリカ)

【和:スターリング&フランシーヌ・クラーク・アート・インスティチュート
【英:Sterling and Francine Clark Art lnstitute
研究機関|>スターリング&フランシーヌ・クラーク・アート・インスティチュート(アメリカ)

 ニューヨーク近郊のウィリアムスタウンに、ルノワールの素晴らしい作品がたくさんある美術館、「スターリング&フランシーヌ・クラーク・アート・インスティチュート」がある。
 ウィリアムスタウンはマサチューセッツ州にあるが、ニューヨーク州との州境に近い山の中にある。ニューヨークの州都オルバニーの空港からが一番便利なようだ。ニューヨークからオルバニーまで飛行機で四十分。
ウィリアムスタウンはウィリアムスカレッジのある学園町で交通の便が悪く、そこで車を利用して空港から約一時間。町全体がカレッジライフで白い建物が縁に囲まれた簡潔な雰囲気である。
 スターリング・クラーク(一八七七ー一九五六)は、ミシンの発明者アイザック・シンガーのパ-トナーであったエドワード・クラークの孫で、一九二ー年、バリに居住したころから美術品を収集し始めた。当初、古典作家に興味をもち、イタリア、オランダ、フランドル絵画を主にロンドンで購入していた。一九一九年、同じく美術品収集に興味をもつフランス人女性、フランシーヌと結婚し、一九二〇年初頭アメリカに帰った。彼らが夫婦揃って、ノードラー、デュラン=リュエル、ウィルデンシュタインなどの当時世界的に有名であった画廊を見て回り活発に作品を収集したのは、一九三〇年から四〇年代である。クラーク氏の没後はフランシーヌ夫人が館長を務め、一九六〇年に彼女が亡くなってからは美術館の評議委員会が運営している。
 本館は一九五〇年代に建てられた白大理石造りのクラシックな建物で、一九七三年建築の新館は赤色の花園岩で造られ、内部で本館とつながっている。新館には、国内でも有数の美術研究のための図書室や大講堂がある。
 小品の彫刻が置かれている渡り廊下を行くと本館に出る。まずドーミェの小品から始まり、コローの「ピンクのスカートの少女」、ミレー「羊飼いの少女」「編物のレッスン」「種蒔き」のパステル画がある。クールベ、ヨンキント、ドービニー、ファンタン=ラトゥールなどもある。
小品だがドガの「レースの前」(一八八二)とマネの「メリー・ローラン」(一八八二-八三)が印象に残る。私の好きなドガの「チュールのレースをつけた踊り子」のブロンズ像が置かれている。さらにドガの「踊りのけいこ」(一八八三ー八五)の油彩画やボナール「女と犬」(一八九一)、ルノワール「コンサートで」(一八八〇)は文句なしに名品である。ゴーギャンのブルターニュ時代、メアリ・カサット、モリゾーの作品もあった。
 天井からの自然の淡い光が全体を包んだ一番大きな部屋があり、ルノワールの一八七〇年から一八八八年までの作品が十六点も飾られている。中で特に印象に残ったのは、「団扇を持つ少女」(一八八ー)で、おそらくルノワールの青を使った時代の最高傑作の一つだろう。「鷹を持つ少女」(一八八〇)は愛らしく「水浴する金髪の女」(一八八ー)は柔らかな美しさがあり、肖像画だが「編み物をするマリア=テレサ・デュラン=リュエル」「テレーズ・ベラ」「読書するモネ夫人」といずれも素晴らしく息つく暇もない。「アルジエの女」(一八七〇)は東京の国立西洋美術館所蔵のものと連作であろう。ルノワールに圧倒されてしまうが、モネも四点あり、「エトルタ」(一八八五)や「ルーアンの大聖堂」(一八九四)などいい作品である。
 ゴヤの「ジュリア」(一八ー四)、ターナーの荒れ狂う海と光を描いた四十号大の作品、メムリンクの小品「ギルスの肖像」。  その他にロートレック、ブータン、ゴーギャン、テオドール・ルソー、コロー、ジェリコ-などの作品もあるが、やはり、この美術館の中心はルノワールであろう。数えあげてみると三七点もあった。メリオンのバーンズ・コレクションにもたくさんのルノワールがあったが、このクラーク・コレクションにはルノワールの名品が何点もあり、非常に水準が高い。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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