考古用語辞典 A-Words

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ボルティモア美術館(アメリカ) 2009年8月8日更新

ボルティモア美術館(アメリカ)

【和:ボルティモアびじゅつかん
【英:The Baltimore Museum of Art
研究機関|>ボルティモア美術館(アメリカ)

ボルティモア美術館は町の中にあり、こぢんまりとしたたたずまいを見せていた。この美術館の重要なコレクションは、コーン姉妹からの遺贈による三千点の作品群である。コーン姉妹はテネシーに生まれ(姉一八六四生、妹一八七〇生)、子供のころ、家族と共にボルティモアに移り住んだ。父親のヘルマン・コーンは食料品店を営んでいたが、ボルティモアに移ってからは家族でH・コーン&サンを設立し、織物業者として大成功を収めた。コーン姉妹は共に美術に関心をもち、コレクションに楽しみを見いだしていた。
 姉のクラリベルは一九二九年に没し、すべてのコレクションは妹のエタに預けられ、エタが一九四九年に死去した後、遺言によってボルティモア美術館にその膨大なコレクションが遺贈された。一九五七年から公開され、その後も幾度か改築を重ねて現在に至っている。
 玄関を入るとすぐ右手に、ミュージアム・ショップとカフェがある。左手にある階段をあがると展示室が続く。一番奥がコーン・コレクション・ウイングになっている。イタリアのカナレット、オランダのフランス・ハルスやヴァン・ダイク、イギリスのレイノルズやローレンス、フランスのモネ、ルノワール、コローなどがいくつかの部屋に国ごとに分かれて展示されている。
 コーン・ウイングに入るとシンプルな感じの展示室で、まずマチスが全面に並んでいるのに驚いた。エタはマチスと親交があり、四二点の油彩画、十八点の彫刻、三六点のデッサンに多数の版画や書籍をもっていた。油彩画は一九一七-四〇年までと年代を追って収集しているので、有名な「ばら色の裸婦」を含むマチスの作風の変化を見ることができる。一九〇一-一三年までを集めたロシアのシチューキンのコレクションと比べると作品のサイズが小さいものが多い。男性と女性のコレクションの好みの違いであろうか。ピカソのコレクションも充実している。「母と子」は優しさがにじみ出ている。ほかにも青の時代、アヴィニヨン時代と重要な作品が並んでいる。
 ゴーギャンが二点あり、これらはタヒチ時代の名品である。ゴッホはやや初期のものだがなかなか見応えがある。セザンヌも「水浴」「サント・ヴィクトワール山」共に素晴らしい。ミロの「夏」(一九三八)はカラフルで楽しく、「夜のシーン」(一九三七)は力強い。カンディンスキーの「ペネトレーティング・グリーン」(一九三八)も暗い色調だが美しい。ドイツ表現主義派、フランス印象派も一通り揃っている。ドガの彫刻「チュールをつけた踊り子」もあった。コーン家の部屋の一部を再現したものもこのコーナーにはある。
 アメリカ現代美術では代表的な画家たちの作品が揃っていた。ウォーホルの「最後の晩餐」の大作、リキテンシュタインの「小さなアロハ」、ステラのオブジェ、アルトドルファーなどの作品が印象に残った。アメリカ十九世紀装飾美術の展示室もあり、コーン姉妹のコレクションはスベースの関係ですべては展示できていないが充分に楽しめた。マチスをまとめて所蔵していることが大きな特色となって世界各地から人々が訪れている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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