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カーネギー美術館(アメリカ) 2009年8月8日更新
【和:カーネギーびじゅつかん】 |
【英:The Camegie Museum of Art】 |
研究機関|>カーネギー美術館(アメリカ) |
アメリカのピッツバーグにカーネギー美術館がある。カーネギーというと誰でも、ニューヨークのカーネギー・ホールが思い浮かぶだろう。
アンドリュー・カーネギーは一八三五年にスコットランドのエジンバラに生まれ、十三歳のとき、家族と共にピッツバーグに渡って成功した人である。故郷ピッツバーグを起点として、ニューヨークをはじめアメリカ各地に、図書館や音楽ホールを百館以上も寄付していった。
アメリカでは、成功したお金持ちが公共事業や文化事業に積極的に寄付している。これは日本にはない、フロンティア精神をあがめるアメリカの伝統である。カーネギーもその一人であった。
また、ワシントンのナショナル・ギャラリーを寄附したメロンやニューヨークにフリック・コレクションを創ったフリックなども、ここピッツバーグの出身であり、この時代のピッツバーグの繁栄ぶりがうかがわれる。
ピッツバーグのカーネギー・インスティチュートとカーネギー図書館は、カーネギーによる最初の大規模な寄付であった。一八九五年に開館したインステイチュートは、美術館と音楽ホール、そして自然史博物館も兼ね備えている。
カーネギー美術館の一番の特徴は、「カーネギー国際展」の開催である。アメリカのほかの美術館が主に古い時代の名作を収集したのに対し、カーネギーは一八九五年以降の作品を。"明日の古典"と呼んで収集していった。
「カーネギー国際展」を同年から始め、現在活躍している画家たちを招待して、毎年、あるいは隔年に展覧会を開催し、その中で気に入ったものを買い上げていった。こうして、一九二七年にカーネギー大賞を受賞したマチスの名品「花と果物皿」(一九一四)をはじめ、数多くの二十世紀美術の名品がカーネギー美術館に集まっていった。現在も三年に一度の割合で、この展覧会は続けられており、ほかの美術館にないユニークな収集方法が注目されている。一九六五年にスカイフ夫人の遺贈による印象派と後期印象派の名作のコレクションをはじめ、多くのほかのコレクションも寄贈され、カーネギー美術館はさらに充実していった。
このインスティチュートの古い建物はどっしりとしていて立派である。一九七四年に新館が増築され、絵画の展示をしている。新館は、全面ガラス張りで石の床面との調和がシンプルで美しい。広い空間があり、伸びやかな印象である。ロビーの前の中庭はガラス張りの彫刻庭園になっており、市民の憩いの場所である。
二階が展示場になっており、印象派から始まる。モネの「睡蓮」やボナール「浴槽の裸婦」、マチス「オダリスク」、ルノワール、マグリット、ミロなどの名品が数々あり、人々の目をひきつけている。マチスの切り絵「千夜一夜物語」の大作も素晴らしい作品である。アメリカ現代美術のスペースはものすごく広く、アメリカ美術は"大きいことはよいことだ"とアビールしているようにも思える。その他、ローマ、エジプトの古い遺物やティントレット、ルーベンスなどの絵画もある。占い建物の中心に、カルダーの巨大なオブジェが吊り下げられている。宮殿のような建物だけに、そのコントうストが面白いが、それでいて違和感がない。新館のロビー横のカフェは洒落ている。町の人たちも、気軽にこのカフェを利用しているようであった。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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