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デトロイト美術館(アメリカ) 2009年8月8日更新
【和:デトロイトびじゅつかん】 |
【英:Detroit lnstitute of Arts】 |
研究機関|>デトロイト美術館(アメリカ) |
デトロイトはかつてフランス領であった。一七九六年に、独立間もないアメリカ合衆国に併合され、商工業の中心地として発展していった。一八八五年、デトロイト美術館が市民の手で設立され、一九一九年には、市立美術館となり、その後増大するコレクションのために、増築が何度か行われ、大美術館の威容を整えていった。現在は収蔵晶が六万点を数えるに至っている。
デトロイト空港から五十分で美術館に着く。ロダンの「考える人」が迎えてくれる。入場料は無料だが、寄付を受け付ける箱が置いてある。ロビーは石造りで、天井も高く立派だが、南ウイングと北ウイングにも入口かおり、増築して大きくなった美術館のせいか、鑑賞の順路が複雑でわかりづらい。入口で館内地図をもらって、見たい部屋へ行くようにした方がよい。
正面からの入口が二階にあり、この階に展示室が一番多い。南ウイング、北ウイングの入口は一階にある。展示室は自室以上あり、規模の大きい美術館である。
まず、ロビーの右側のイタリア美術の部屋から見ることにする。古くどっしりとした部屋で、ヴェロネーゼ、ティツィアーノ、ティントレット、ボッティチェルリ、フラ・アンジェリコといった作品を、イタリア・ルネッサンスの雰囲気そのままに見ることができる。
そこから、エジプト美術の部屋が続く。中心に天井からの自然光が降り注ぐ空間で、メキシコのディエーゴ・リベラの大きな壁画「デトロイトの産業」(一九三三)がある。自動車王フオードの寄付で、フオード自身も絵の中に描かれている。
そこから北ウイングに出ると、ニーヴェルスン、ステラの現代美術の明るい空間となる。白い壁に木の床のシンプルな雰囲気が二十世紀美術によく似合う。次の部屋のミロの「夜の女と鳥」(一九四四)は私の好きな時代の作品である。同じくミロの「自画像Ⅱ」(一九三八)も大作で美しい。続いてアメリカ現代美術のデ・クーニング、マザーウェル、ケリー、アンドリュー・ワイエスらの作品が展示されている。ピカソの名品が並ぶ部屋もある。「アルルカンの顔」(一九〇五)、「肘掛け椅子に座る女」(一九二三)、「メランコリックな女」(一九〇二、「瓶」(一九一五)とどれも素晴らしい。
再び中央の建物に戻り、ロビーの左側の部屋にアメリカ美術が展示されている。メアリ・カサット「子供を讃える女たち」が美しい。その他、テイファニーの壺、十八世紀初めの木遣りの部屋を再現したものなど、多様な美術の展示である。
南ウイングヘ行くと、天井から自然光の入る大きなロビーになっていて、シャルダンが数点掛かっている。フランスの十八世紀タピスリー、銀器、家具、陶器などがある。そこから階段をのぼって三階へ行くと、英国美術の部屋である。レイノルズの大作「農夫たち」やターバンを巻いた婦人の肖像画など優しく美しい。
英国美術の反対側の部屋は北ヨーロッパの美術で名品がたくさん集められている。ルーカス・クラナッハ(父)は「聖母子と天使」が美しい。ピーテル・ブリューゲルー世の名品「婚礼の踊り」(一五六六頃)はブリューゲル特有の諧謔が影をひそめている。ガラスケースの中には、ファン・アイクやヴァン・デル・ウェイデンらの宝石のように美しい小品が飾られている。ルーベンスの部屋では、「弟の肖像」「ダヴィデとアビガイルの邂逅」などが素晴らしい。スペイン美術の部屋のムリーリョ「受胎告知」は大作で美しい。ドイツ美術ではハインツ・マック、その他、カンディンスキー、クレーらの作品が見られる。
一階へおりると、フランスの十九世紀美術の部屋があり、ゴッホ、ルノワール、モネ、スーラなど名品を見ることができる。その他、アフリカ、イスラム、アジアなどさまざまな文化に楽しく接することができる。日本美術も金蒔絵の作品が美しい。町には活気がなかったが、美術館は数年後には再び改築される予定とかで、企画展も多く開催しているし、充実した活動を行っている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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