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トレド美術館(アメリカ) 2009年8月9日更新

トレド美術館(アメリカ)

【和:トレドびじゅつかん
【英:The Toledo Museum of Art
研究機関|>トレド美術館(アメリカ)

 アメリカのオハイオ州にトレドという釘がある。スペインのトレドは小さな村だが、こちらは自動工業、ガラス工業が盛んで活気のある町である。その中心にトレド美術館がある。ニューヨークから飛行機で三時間ほどと聞いて、出掛けることにした。
 美術館は、前庭に緑の芝生が広がり、白い大理石の建物とのコントラストが美しい。屋根は青銅でできている。整然とした建物で、入口に星条旗が十二本も並んではためいている。
 この美術館は、ガラス工業界の成功者であるエドワード・リビィを中心とした市民グルーブによって、一九〇一年に創設された。当初、この新しい美術館にはコレクションがなく、借りてきた作品で展覧会をしていた。リビィは一九五年に亡くなくなるが、彼には子供がなかったこともあって、その遺産は美術館に遺贈された。その中には、レンブラント、ターナー、ホルバインなどの名作があった。リビィ未亡人も夫の遺志を継いて、一九三八年に亡くなるまで美術館を支えていた。そのときに、遺贈された額の五十パーセントで作品を購入し、残りを維持費に回すという方針が立てられた。未亡人の没後、彼女自身の財産もすべてこの美術館に遺贈された。また、二代めの館長のアーサー・セーコーも自分のコレクショ ンを寄贈した。その後も、こうした多くの協力者を得て、トレド美術館は充実した内容をもつようになっていった。
 主な所蔵品を見てみると、イタリア絵画では、ジョヴァンニ・ベルリーニの「十字架を担うキリスト」、ペセルリーノ「聖ヨハネと聖母子」が素晴らしい。ティエポロの大作やヴェロネーゼもよい。近年の作品では、モジリアニ「ポール・ギヨーム」、キリコ「自画像」、モランディ「静物」が印象に残った。
 スペイン絵画では、エル・グレコが目をひく。「ゲッセマネの祈り」「受胎告知」とどちらも名作である。ベラスケス、スルバラン、リベーラと巨匠の作品が揃っている。ムリーリョも美しい。
 ドイツ・フラマン地方の絵画では、ルーカス・クラナッハ(父)、ハンス・ホルバインがよかった。オランダ絵画では、やはりレンブラントの「羽根帽子の若い男」が素晴らしい。ルーベンスの豊かさ、ヴァン・ダイクの力強さも見応えがある。ゴッホの名作が二点、「麦畑」「オーヴェールの家々」がある。
 フランス絵画では、ニコラ・プーサンの典雅さからフラゴナールの優しさ、クールベ、ミレー、コローのバルビゾン派の牧歌的な叙情、モネ、ルノワール、シスレー、ビサロの印象派の美しい色彩とそれぞれに楽しめる。セザンヌやゴーギャンの風景、ドガの踊り子、マネの肖像画と各庁が多い。ピカソ「女と鳥一は七日の時代の名作で素晴らしいの一言に尽きる。
 イギリス絵画では、やはりターナーが一番だと思う。アメリカ絵画は、十八世紀からのコレクションだが、一九六〇年前後のアメリカ現代美術館の方に魅力を感じる。デ・クーニング、ラウシェンバーグ、ロスコ、ステラの作品の中に、岡田謙三の作品もあった。トレド美術館は私の予想を超えて、名作をたくさんもっていた。ニューヨークからわざわざ出掛ける価値のある美術館であった。町そのものは有名ではないが、この美術館は国際的に重要な展覧会には作品を貸し出すので、トレドの町の名前が美術品を通して、世界に宣伝されている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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