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コロンバス美術館(アメリカ) 2009年8月9日更新
【和:コロンバスびじゅつかん】 |
【英:Columbus Museum of Art】 |
研究機関|>コロンバス美術館(アメリカ) |
オハイオ州のコロンバス美術館には、ニューヨークから空路で一時間半、空港からタクシーで十五分である。静かな小さな町で観光名所もあまりない。
コロンバス美術館は一八七八年に創立された、オハイオ州で一番古い美術館である。建物は石造りの二階建てで、イースト・ブロード通りに面した正面玄関は堂々としていて立派である。前庭に大きなヘンリー・ムアのブロンズ像があり、建物のまわりにもいくつか彫刻が置かれている。入口は正面玄関の真うしろにあり、こちらはネオンライトのオブジェが壁に取り付けられ、彫刻もカルダーの大きい作品が置いてあり、正面とは異なって近代的な雰囲気である。ここに大きい来客用の駐車場がある。入口を通るとすぐロビーで右側に案内カウンターがある。特別展以外の常設展は無料である。
ロビーから二階の階段にかけてコンテンポラリーの作品が飾られている。ポモドーロのブロンズ、フランツ・クラインの白黒の絵、ジム・ダインのオブジェと絵、フランク・ステラやシャガールのオブジェが壁に取り付けてあり賑やかである。
二階には特別展示室とアメリカ絵画、およびシラク・コレクションがある。このコレクションはシラク夫妻が一九九一年に寄贈したドイツ表現派、フランス印象派などの作品群である。まず、ここから見ることにする。印象派の部屋ではルノワール「刺繍をするクリスチーヌ」(一八九五―九八頃)、ピサロ「ポントワーズ広場」、モネの明るい「葡萄龍」(一八八三)、ヴュイヤール「大きい木」のパステル画などが素晴らしい。次の部屋ではヤウレンスキー「赤い帽子のショコー」(一九一〇頃)、アンソール「海の貝たち」(一八九五)、ドランコ国家の肖像」(一九〇五)やドンゲン、モネ「柳」などが印象に残る。表現派の部屋にはキルヒナーやエミール・ノルデなどがある。スーチンが三点あり、どの作品も美しい。次の部屋に行くと、セベルリーニ「ダンサー」やグリの「楽譜、パイプ、ペン」は共に小品ながら素晴らしい。モランディ、ニコラ・ド・スタールもある。これらのコレクションのほかにクレーも数多くあり、一人の人間が選んだコレクションだけに統一性があり、まとまりがある。五部屋あるアメリカ美術では、日本生まれの国吉康雄の作品が懐かしい。サージェント「婦人像」が可憐である。シャームバーグ「電話」(一九一六)やマン・レイなどのアメリカのモダニズムが洒落ている。
中央にあるデルビーコートは天井光が入り、マイョールやアーチペンコの彫刻が置かれ休憩室となっている。気持ちのよい、明るい空間である。一階へおりるとまずターナーやフラゴナール、ヴァン・ダイクがある。Aの部屋にはイタリア・ルネッサンス美術が主で、Bにはルーベンス、ヨルダーンス、ボッスがある。Dはゲインズボロー、ドービニー、コロー、クールベの作品がある。Eは十九世紀末から二十世紀のフランス絵画でルノワール「ヘンリオット夫人」、マチス「赤いベスト」などの名品にひかれる。セザンヌ「座るヴィクトール・ショケ」も小品だが美しい。ロートレック、マネ、モネも揃っている。続くピカソ「静物」(一九一五)、ブラック「ギター」(一九一七)やグリ「カード、ビールのグラス」(一九一三)はそれぞれ興味深い作品である。その他、ディエーゴ・リベラやレジエもある。
建物の横に彫刻庭園があり、マイヨ-ル、チャドウィック、マンズーなど十数点が置かれている。また、レストランはセルフサービスになっているが、美術館に関係のある婦人団体のボランティアで経営されているので安くて簡単に食事ができる。大きな美術館と異なって入場者数も少ないので名品を静かにゆっくりと見ることができる。心の中に自然とゆとりが広がるのが嬉しい。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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