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サルバドール・ダリ美術館(アメリカ) 2009年8月9日更新
【和:サルバドール・ダリびじゅつかん】 |
【英:The Salvador Dali Museum】 |
研究機関|>サルバドール・ダリ美術館(アメリカ) |
フロリダのセント・ピータースバーグに「サルバドール・ダリ美術館」がある。ダリ夫妻と四十年問も友人であったモース夫妻の大コレクションがここで公開されている。サルバドール・ダリは一九〇四年、スベインのフィゲラスに生まれた。芸術家を多く生みだしたカタロニア地方である。十歳からアカデミーに通い、十四歳のときすでに展覧会に出品している、早熟な天才であった。十七歳のとき、マドリッドのロイヤル・アカデミーに進み、二十二歳でパリに出ていく。ニ十四歳でピカソと出会い、アンドレ・ブルトンやミロなどシュルレアリスムのグループと知り合う。翌年、詩人ポール・エリュアールの夫人であったガラと熱烈な恋に落ちる。ガラはサルバドール・ダリにとってシュルレアリスムの発想の源であり、永遠の恋人であり、そして生涯の伴侶となった。ダリの芸術はガラと一緒になったことで花開いたともいえるほどガラの影響は大きかった。一九三九年、ダリはアメリカで初の個展を開いた。こうしてダリは国際的な芸術家として、パリ、ニューヨークをはじめ世界中で活躍し、その奇行と共に特異な画家として人々を魅了していった。一九八二年に愛するガラを失い、失意の中で一九八九年一月ニ十三日、ダリはその華やかな一生を閉じた。
一九八二年三月に開館したこのサルバドール・グリ美術館には油彩画九三点、水彩画百点、版画千三百点、その他に写真、オブジェが収められている。
どこまでも青いフロリダの空と海があるセント・ピータースバークの港の近くに、その白い洒落た外観の美術館は建っている。入口を入るとすぐ大きなロビーで、その奥が展示室になっている。ダリ十歳の少年時代の作品から展示が始まる。十四歳のときの作品はすでにダリの才能の並々ならぬことをうかがわせる。ここでは初期から晩年まで六十年間にわたるダリの作品群を一堂に見ることができる。巨大な作品「コロンブスの夢」から宝石のような小品「記憶の持続性の分解」まで訪れた人を充分に楽しませてくれるコレクションである。溶けた時計やバイオリン、その不思議な世界は私たちに時間や存在について語りかけてくる。ミレーの「晩鐘」、ベラスケスの「マルガリータ王女」など、歴史に残る名画をダリ流に解釈した作品も面白い。ダリは独裁者であった。ダリは作品だけでなく、人生そのものを自分白身で演出していたようである、インタビューの中でも「世界で一番の画家は私、ダリである」と断言してはばからなかった。その大切な共演者がガラであった。絵の中にもガラはしばしば登場してくるダリは「ガラは私の生命、私の血である」とも言っている。
セント・ピータースバーグはタンパ空港から車で三十分くらいのところにある。同じフロリダでもマイアミとは違って華やかではないが、海の美しいところで、冬でも暖かい。ダリ美術館はダリの生まれたフィゲラスと同じ明るい海のそばにある。アメリカとスペイン、国は違うがダリの好きな光や風がこの町にはある。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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