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ダラス美術館(アメリカ) 2009年8月10日更新
【和:ダラスびじゅつかん】 |
【英:Dallas Museum of Art】 |
研究機関|>ダラス美術館(アメリカ) |
アメリカ合衆国の南部、テキサス州ダラスはケネディ大統領が暗殺された町として一躍有名になったところである。ダラス空港は成田空港の十四倍という大きさで航空路の要衝となっているが、町そのものが大きく広がった大都市であるせいか、ごみごみした感じがなく、落ち着いた静けさが漂っている。
ダラス美術館は市の収集と多くの寄贈者からの作品により一九三八年から開館しているが、その後収蔵品も増え、新館建設が必要となり、E・バーンズの設計で一九八四年新しく開館した。
美術館は大きく分けて五つの展示場から成っている。1、ヨーロッパ、アメリカ美術、2、アジア、アフリカ、プレ・コロンビア、古代美術、3、「ヴィラ・ラ・ポーザ」、4、現代美術、5、彫刻庭園と分けられる。
受付から白い廊下をまっすぐ進むと現代美術の部屋である。まず、大きなオブジェに驚かされる。現代美術はびっくりさせること、意表をつくことが一つのポイントになっているようだ。
そこからヨーロッパ、アメリカ絵画の展示場へつながっていく。十九ー二十世紀ヨーロッパ絵画はゴーギャン、モネ、モジリアニをはじめ、たくさんの名品を揃えている。アメリカ絵画では日本でもおなじみのワイエス、国吉康雄などもみられる。
アジア、アフリカ、プレ・コロンビアなどの展示場は上手に飾られていて見やすい。採光もよく、柔らかい雰囲気が醸し出されている。
「ヴィラ・ラ・ポ-ザ」はエメリーとウェンディ・リ-ブス・コレクションの館である。「ヴィラ・ラ・ポーザ」とはモナコの近くにあった別荘を再現したもので、一九二七年にウェストミンスター卿が愛人であったココ・シャネルにプレゼントした美しい館である。十九四七年の卿死去の後、オートクチュールや香水開発の資金調達のためにココ・シャネルはこの館を売りに出した。ハンガリー生まれのエメリー・リーブスは、出版業およびイギリスのチャーチルの広報官的役割を果たした人で成功者であった。ウェンディはテキサスに生まれ、ニューヨークでファッションモデルとして大成功を収め、また、ビジネスウーマンとしての才覚にも恵まれていた。二人が運命的な出会いをし、中年の域に達しようとしていた恋人たちが、美しいヴィラを二人の永遠の住家として求めたのであった。別荘にはチャーチルやロスチャイルド、サマセット・モーム、ウィンザー公、ローズ・ケネディも訪れたという。チャーチルはここで晩年の楽しみとなった絵画の制作にも没頭した。エメリーとウェンディは美術品の収集もしていたので、エメリーの死後、ダラスの美術館の要請で、この別荘を再現してそこに陳列するという条件のもとにコレクションが寄贈された。「ヴィラ・ラフ・ポーサ」はココ・シャネルやチャーチルなどの思い出と共にダラス美術館の中に見事に再現された。
彫刻庭園は四つの石の壁で仕切ったスペースがそれぞれ異なった傾向の作品でまとめられ、モダンなものと古典的なロダンの作品などが独立した空間でそれぞれ競い合っていて面白い。ちょっとひと息いれるくつろぎの場でもある。
新しく建てられた美術館だけに、外観のモダンさだけでなく、使いやすくできているのがよい。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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