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デ・ヤング記念美術館とレジョン・オブ・オーナー・カリフォルニア宮殿(アメリカ) 2009年8月13日更新
【和:デ・ヤングきねんびじゅつかんとレジョン・オブ・オーナー・カリフォルニアきゅうでん】 |
【英:Fine Arts Museums of San Francisco】 |
研究機関|>デ・ヤング記念美術館とレジョン・オブ・オーナー・カリフォルニア宮殿(アメリカ) |
坂の多い町サンフランシスコのゴールデン・ゲート公園の中にデ・ヤング記念美術館があり、少し離れたリンカーン公園の中にレジョン・オブ・オーナー・カリフォルニア宮殿がある。
この二つの美術館は共に二十世紀初頭に開館し、ライバル館として競い合い、運営の仕方は全く異なっているが、画館の設立に尽力したデ・ヤングとスペレッケル夫人の美術館に対する考え方は共通している。この二つの美術館はサンフランシスコのファイン・アーツ・ミュージアムズとして共通のカタログを出版している。
まず、デ・ヤング記念美術館を訪れてみる。真ん中に塔があり、両側に建物が広がっている。この左側部分はアジア美術館となっており、右側の本館の方に進む。まずエル・グレコの「十字架のキリスト像をあがめる聖フランシスコ」(一五九五頃)は名品である。「洗礼者聖ヨハネ」(一六○○)もいい。この部屋はスペイン風で十六ー十七世紀の家具も置かれている。十五世紀スペインの宗教絵画、十五-十六区紀のフレミッシュ、ドイツ、オランダ絵画と続き、イタリア・ルネッサンス絵画、十七ー十八世紀のオランダ絵画へと進む。おのおのの時代の家具調度品が置いてあり、時代の雰囲気を伝えている。
十六世紀イタリア絵画は、ティントレット「ルナルム家の若い男の肖像」とティツィアーノ「友人の肖像」がある。特にレンブラントの「軍人の服装をしたアムステルダム市民(ョーリス・デ・コーレライ)」(一六三二)はこの美術館のコレクションの中でも特筆すべき作品である。フランス・ハルスの「白い服の男の肖像」もよかった。ルーベンス「配当金」(一六一二)、「ロジェ・クラリス夫人の肖像」、ヴァン・ダイク「貴族の夫人とその娘」(一六三四)、ヨルダーンス「聖家族」と思わず見とれてしまう名作が続く。
ティエポロの「フローラの凱旋」(一七四三)、ゴヤの「勲章をつけた男の肖像」もある。アメリカの十九一二十世紀の画家の作品と、一九〇〇年ごろのアメリカの家具を数室にわたり展示している。
最後は、アフリカ、オセアニアなどの発掘品や古い民芸調のものを展示していた。ゴールデン・ゲート公園からリンカーン公園まで車で十分ほどである。この公園は高台にあり眺望も申し分ない。まず、ロダンの「考える人」が訪問者を迎えてくれる。
展示室に入ってすぐに美しブーシェの大作がある。さらにフランスのバロック美術、十六世紀のタピスリー、食器、宗教彫刻が並べられていて、フランスのロココ時代ではワトー、フラゴナール、シャルダン、プーサンなどがある。フラゴナールは「自画像」「善き母」(レンブラントの作品の模写)、シャルダンの「カードの家」がいい。
この美術館はスペレッケル夫人がアメリカで最初の大ロダン展を見てから積極的に美術館設立のための行動を開始しただけあって、ロダンの三十余点を数えるコレクションが特徴となっている。
十九世紀のフランス美術、特に印象派コレクションは、まず、モネの「大運河、ベニス」「アルジャントゥイユのセーヌ」「睡蓮」(一九二〇ー二二)、セザンヌフンャトー・ノアールの公園の岩」(一九〇〇)、ルノワール「ブルジェリアの女」(一八七〇)、マネ「帽子屋で」(一八八一)、「キリストの顔」(一八六五)がある。さらにシスレー、ボナール、フアンタン=ラトゥール、ドービニー、クールベと揃っている。
フランス美術を中心に集めたコレクションだが、ここ一館だけを見たのでは多少物足りない感じが残る。やはりデ・ヤング記念美術館を見て、それからここを訪れると、充実した美術館めぐりになる。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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