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ノートン・サイモン美術館(アメリカ) 2009年8月13日更新
【和:ノートン・サイモンびじゅつかん】 |
【英:The Norton Simon Museum】 |
研究機関|>ノートン・サイモン美術館(アメリカ) |
ノートン・サイモン美術館は、個人のコレクションをもとにした美術館としては、非常に短期間にヨーロッパの巨匠の作品を収集したことで有名である。ノートン・サイモンは、まず印象派の絵からコレクションを始め、一九六四年にドゥリーン卿が開設した有名な美術商会を買い取り、一流の絵画、彫刻、タピスリーを手に入れた。また一九七五年には経済的に危機にひんしたパサデナ美術館を引き継ぎ、生まれ変わったように美しくなった建物と豊富かつ重要なコレクションによって、アメリカ有数の美術館をつくった。
パサデナはカリフォルニア州の北に位置し、高級住宅地として知られているところである。平屋建ての近代的な建物に至るアプローチには左右にヘンリー・ムア、ロダンの「バルザック」「カレーの市民」「考える人」など、彫刻の大作が芝生の中に並んでいる。
ヘンリー・ムア三体とジャコメッティー体が置かれたロビーを進むと、初期イタリア・ルネッサンスやフランドル派から展示が始まる。ラファエロの「聖書と聖母子」(一五〇四頃)、ボッティチェルリ「天使の崇拝を受ける聖母子」、メムリンク「キリストの祝福」、ジョヴアンニ・ベルリーニ「フゲルの肖像」などの代表作や十四世紀イタリアの宗教画がある。さらにルーカス・クラナッハ(父)の「アダム」と「イヴ」がある。二十世紀の部屋は、カンディンスキーから始まる。一九一二年作、一九二三年作といずれも貴重な作品である。ヘンリー・ムアの白い大理石の「横たわる人」、ベン・ニコルソンの白いレリーフ、イサム・ノグチの抽象彫刻がある。
ティエポロ、ルーベンス、レンブラントの名品「ティテュス、画家の息子の肖像」(一六五三-五五)、「鍔広帽子のひげ男」(一六三三)、と「自画像」(一六三六ー二八)、ブーシェの大作、さらにプーサン、フラゴナール、シャルダン、アングルと続く。
十九世紀以降の近代絵画では、まず、ルソーの「熱帯」(一九一〇)、ゴッホの「画家の母の肖像」(一八八八)、「農夫の肖像」(一八八八)、「桑の木」(一八八九)、ゴーギャンの「タヒチの女と男の子」(一八九九)、ロートレック「娼婦の横顔」(一八九三)、「サーカス」(一八八八)が並んでいて圧倒される。この他、マチス「タンバリンを持つオダリスク」(一九二六)がいい。ボナール「レイラ・クロード・マネの肖像」(一九三〇)、コロ「土マンドリンを持つ赤い服の女」、モジリアニ「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」
(一九一八)と続く。
マネの大作「屑拾い」(一八六九頃)をはじめ「マネ夫人の肖像」「鮭とカワカマスと海老」、モネの「オンフルール」(一八六五)、ヴュイヤールの超大作「最初の果実」(一八九九)が並んでいる。マイョールの等身大の「三人のニンフ」、ルノワールの大きい彫刻「ヴィーナス」もある。
ピサロは「ポントワーズの市場」(一八八二)、の人物像がいい。ピカソの力作「カーテンと裸婦」(一九二七)、「マンドリンと女」(一九二五)、「羊の頭」(一九二五)、ブラックの「画家とモデル」(一九三九)の大作がある。彫刻もマリノ・マリーニの「馬に乗る人」があった。
この美術館の特色の一つにインド、東南アジアの宗教美術がある。一九七二年にサイモンが初めてインドを訪れ、仏教、ヒンズー教初期の彫刻に関心をもったのがきっかけで、今ではインド国外のコレクションとしては非常に質の高いものになっている。そして、もう一つ特筆すべきはドガ・コレクションである。ブロンズ像だけでも八十点近く、油彩画、パステル画、デッサンなど三十点あまりが飾られている。昔、モネが所有していたというパステル画「浴後」(一八八五)が素晴らしく、その他にも「洗濯女」(一八七三)、「舞台のそでの踊り子たち」(一八八〇頃)なども美しい。この他レンブラントの版画三十余点、オランダ絵画、表現主義やクレー’、カンディンスキーの水彩画などコレクションは豊富で、かつ現在もどんどん追加されているという.出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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