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ロサンジェルス・カウンティ美術館(アメリカ) 2009年8月13日更新
【和:ロサンジェルス・カウンティびじゅつかん】 |
【英:The Los Angeles County Museum of Art】 |
研究機関|>ロサンジェルス・カウンティ美術館(アメリカ) |
ロサンジェルス・カウンティ美術館に「日本館」が誕生したのは一九八八年であった。一九八六年に二十世紀美術のためのモダンなアンダーソン館も開館しており、これで古い部分と合わせて五つのパビリオンに分かれた大きな美術館となった。
日本館は館東と西館に分かれ、外観は共に。障子"のような壁で包まれている。もちろん紙製ではないが、障子と同じく、ある程度の外光が自然に展示室に入るように工夫され、これが和風の雰囲気を醸し出すのに役立っている。ニューヨークのグッゲンハイム美術館の設計者フランク・ロイド・フイトの弟子だったブルース・コブが造ったというだけあって、各階はスロープで三階までつながっている。グッゲンハイム美術館は六階建てで、そのスロープがあまりに長く気になるが、こちらは三階建てなので、いつの間にかすべてを見終わってしまう感じである。
東館には屏風と掛け軸が、床の間風につくられた空間や、フィリピン製のマホガニーの入り込みに飾られ、観客との間に小川のような水が流れているのがユニークである。湿度のことが気になったが、日本とは異なって、乾燥しやすいロサンジェルスではちょうどよいのかもしれない。作品の保存上のこともあって全体に薄暗い空間で、東洋的な静けさが漂っている。南画、長崎派、四条派、琳派と江戸時代からの三百点以上にのぼる日本画のコレクションである。床の間に飾られた掛け軸は日本と同じく、年に何度か掛け替えをしている。
西館には古くは日本の縄文土器、弥生土器から仏像彫刻、十四世紀の信楽、十七世紀の伊万里などの陶器、一四一点の根付、北斎、広重らの浮世絵と膨大なコレクションが飾られている。着物もあった。
すべての作品はコレクターからの寄贈のコレクションだが、アメリカの西海岸ロサンジェルスで日本の貴重な美術品を再び見ることに懐かしさと愛着を感じる。充分に研究されたうえでの展示であろう。日本の従来の飾り方とは異なったものが感じられて楽しい。
建築家ブルース・コブは完成前の一九八二年に亡くなったので、彼の協力者パート・プリンスによって日本館の建物は完成された。ブルース・コブの遺作となったデッサンと模型もハーマー館で展示されていた。
アンダーソン館には二十世紀美術が展示されている。現代アメリカ美術からピカソに至るまでを、日本館とは違った明るく開放的な空間で見せている。建物も新しい感覚で素晴らしい。
古い部分のアーマレソン館やハーマー館では、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「煙る焔とマグダラのマリア」(一六四〇頃)やフランス・ハルス「ピーター・トゥジャックの肖像](一六三五-三八頃)などの作品が印象に残る。
この美術館には学芸員の熱意と心配りが感じられるのが嬉しい。作品の保存状態もよく、展示方法も工夫され、わかりやすい。 中火にミュージアム・ショップがあり、ここにはユニークなお土産が並んでいる。美しい名画のついた予定表など、気の利いた小物が見つかる。
出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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