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ポール・ゲッティ美術館(アメリカ) 2009年8月14日更新
【和:ポール・ゲッティびじゅつかん】 |
【英:The J. Paul Getty Museum】 |
研究機関|>ポール・ゲッティ美術館(アメリカ) |
ロサンジェルスから車で約三十分、カリフォルニア州マリブの海岸沿いの広い通りに面してポール・ゲッティ美術館がある。ミネアポリスに生まれた石油王ポール・ゲッティ(一八九二一一九七六)は一九三〇年ごろから美術品収集を始めた。主にギリシャ、ローマの古美術、ルネッサンスやバロック絵画とヨーロッパ装飾美術であった。一九五三年になって、ポール・ゲッティの美術館がマリブの彼の広大な邸宅に創設された。当時は小さく、八室ほどの展示場だったという。さらに収集は続き、もっと大きなスペースが必要となり、新しく美術館を建設することになった。
建築家ノーマン・ヌーベルグによって、西暦七九年にベスビオス火山の噴火で消滅し、十八世紀になって発掘されたパピリの邸(ポンペイの近く)が再現された。庭も当時のままに再現し、木も花も彫刻も徹底して当時をしのばせるものにした。庭に噴水をしつらえた池があり、そのまわりをとりまく回廊の壁はポンペイの遺跡で発見された絵画を写したもので飾られている。
こうして、一九七四年一月、近代美術の粋を駆使して二千年近い歴史をさかのぼって美しい宮殿が再現され、美術館として公開されたのである。その二年後にポール・ゲッティは八十四年の生涯を閉じた。
生前から彼の名義の株が財団の基金とされ、膨大な年間予算をもつ美術館として、今も作品購入は続いている。門を入り、両側が木に囲まれた道をのぼると、ガードマンのいるもう一つの門にたどりつく。入館料は無料で、案内パンフレットを渡してくれる。そこからエレベーターでのぼるとイタリア式の庭に出る。よく手入れされており、明るいマリブの海と調和して縁と青のコントラストが美しい。美術館は二階建てで一階は建物の中にも中庭があり、東と西側にも小さい庭が造られている。
ロビーは一階も二階も大理石の素晴らしいモザイクでできている。大理石の見本といえるほどの多種の珍しい素材を使い、予算を無視して造られたように思える豪華さである。
一階はギリシャ、ローマ時代の彫刻や発掘品が多く、二階は絵画である。館内の展示室は宮殿のようで、絨毯が敷き詰められ重厚な雰囲気である。スポットライトで作品を浮き出させているので、明るい外から入ると暗く感じてしまう。絵画の中ではレンブラント「年老いた男の肖像」、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「乞食たちの喧嘩」などが印象に残った。全体のコレクションは近代絵画より古い時代のものが多い。どの作品にも説明書がついているのには驚いた。心配りが行き届いている。
喫茶室は十時半から四時半までで、昼食のメニューもある。美しい庭を眺め簡単な昼食をとったり、お茶を飲むのも楽しいひとときになろう。 いかにもアメリカの人金持ちのつくった美術館という感じで、ヨーロッパの年代を経だ城とは異なり華やかすぎる感はあるが、日本では見られないスケールの大きい美術館である。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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