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韓国国立現代美術館 2009年8月15日更新
【和:かんこくこくりつげんだいびじゅつかん】 |
【英:The Nationa Museum of Contemporary Art】 |
研究機関|>韓国国立現代美術館 |
韓国の国立現代美術館は、一九八六年八月二十五日にソウル大公園(グランドパーク)に開館した。この美術館は一九六九年に設立され、のちに移築されたもので、ソウルの中心から車で三十分くらい、果川市にある大きな公園の中で威容を誇っている。
訪れてみて、私はまず美術館の大きさに驚かされた。二万坪の敷地に延ベー万坪の建物である。左側の前庭が彫刻庭園になっている。広いロビーの向かって左側がロッカーに、右側がミュージアム・ショップになっていて、中央に案内デスクがある。そこを通って展示室に向かう。
まず、テレビの受像機を重ねて作った巨大な塔がある。一〇〇三台のテレビを積み上げてあり、実際に映像を写しているので華麗、そしてカラフルである。今話題の作家、ナム・ジュン・パイク作のオブジェで、ロシアのタトリンの影響を感じる。左にビニールパイプに光を当てたオブジェがある。奥は常設展示の広く丸いホールになっている。そのまわりも展示室で、主にインターナショナルなコンテンポラリーの作家たちの作品が展示されている。
外国作家では、アンディ・ウォーホルの自画像、デビッド・ホックニー、ラウシェンバーグ、壊れたピアノのブロンズの作品のアルマン、チェンバレンの大作、サム・フランシス、アンソニー・カロに、日本の中林忠良の版画、斎藤義重のオブジェなどがあった。韓国の作家ではチョン・ギョンヨンの手袋を使ったオブジェ、コ・ヨンフンの石と本のオブジェなどが、たくさんの作品の中で印象に残った。ビデオの塔のまわりが緩やかな坂になっていて、二階、三階へと続く。二階には伝統的な韓国作家の部屋があり、水墨画、南画や日本画の大作のような作品もある。その反対側の広い部屋には韓国抽象画のパイオニアとして活躍中の作家遠の作品もある。コラージュで人の顔を創ったものがなかなか面白い。この部屋には、韓国の素朴な土の匂いが漂っている。
三階は現代美術で、アメリカ的なタッチのチョイ・ソンミョンや、バリで勉強しているシン・ソンヒの作品以外は、わりとモノクロームの作品が多い。ことさらに、奇をてらった作品はなく、感性になじみやすい柔らかさがあった。
中央に吹き抜けがあり、そのまわりの回廊も展示室で、日本の美術館に比べて展示スペースは格段に広い。コンテンポラリーのダイナミックな作品には、これだけの広さが必要なのだと納得させられた。
石の中庭があったり、周辺にも工夫が凝らされていて、ただ大きいだけではなく、設計者がさまざまに気配りをしている建物であった。
地下には六百席のコンサートホールがあり、二ヵ月に一度、音楽の演奏会が開かれ、舞踏や演劇もそれぞれ一週間ほど公演している。公演の入場料は無料、美術館のサービスである。 その他にも地下には、整備された資料室、修復室、図書室が揃っている。
この美術館では李館長の方針で交換展、外国作家の展覧会も行い、積極的な活動をしている。展示の仕方も工夫されていて、楽しくコンテンポラリー・アートを見せてくれる。建物もどっしりとしていて明るく、作品に対してあまり主張のないところが、この美術館の建物の特徴である。
ソウル大公園は約百六十万坪の広さをもつ。この豊かな自然の中の美術館は、ソウル市民の憩いの場としてみんなに親しまれていくであろう。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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