常設展「現代の肖像・磯井如真の軌跡」高松市美術館

常設展「現代の肖像・磯井如真の軌跡」高松市美術館

名称:常設展「現代の肖像・磯井如真の軌跡」高松市美術館
開催期間:2021年4月6日(火曜日)~6月20日(日曜日)
会場:1階常設展示室
休館日:月曜日(ただし、5月3日(月曜日・祝日)開館/5月6日(木曜日)休館)
開館時間:午前9時30分~午後5時
  (ただし、特別展開催期間4月17日~6月6日の金曜日・土曜日は、午後7時まで)
住所:〒760-0027香川県高松市紺屋町10-4
TEL:087-823-1711
URL:高松市美術館

特定の人物の姿を絵画や彫刻で表現する肖像は、古今東西において芸術の主要なジャンルとして、様々に表現されてきました。本人をあるがままに捉えたものにせよ、理想化が施されたものにせよ、肖像には当人の姿のみならず、その人物が生きた時代が何らかの形で映し出されているものです。服装や持ち物あるいは調度品に時代性が宿ることもあれば、技法や材質に特有の時代性が現れ出ることもあります。
 この度の展示では、現代の絵画、版画、写真、彫刻作品(11作家13点)を通して、現代という時代性が様々な形で現れ出る肖像の数々をご紹介します。郭徳俊は雑誌『TIME』の表紙を飾る歴代の米大統領と自身の顔を一体化させる写真作品によって、米大統領という現代を象徴する存在と一個人をめぐる関係性について見る者に思考を促します。誰もが知る現代の有名人を扱うという点では、ジャクリーヌ・ケネディや現代アートのカリスマ、ヨーゼフ・ボイスを描いたアンディ・ウォーホルによる肖像も同様で、シルクスクリーンによる反復を伴うクールな表現は、イメージが素早く大量に拡散する現代の特徴を的確に捉えたものといえます。また、野田哲也は愛娘の成長など、ほとんどの場合家庭や日常にのみフォーカスを当てた版画作品を制作しており、背景をトリミングした白昼夢のようなイメージは時間が静止しているかのような印象を与えますが、服装や贈り物などの細部には制作当時の時代性が現れ出ているといえます。
 現代アートにおける多彩な肖像表現の数々をお楽しみください。
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 磯井如真(いそいじょしん)(明治16(1883)年~昭和39(1964)年)は、香川郡宮脇村(現・高松市亀岡町)に生まれました。明治36(1903)年香川県工芸学校用器漆工科を卒業後、大阪の山中商会で、中国の美術工芸品の修理や加工に従事し、様々な工芸技術を修得します。帰郷後、玉楮象谷の遺作を通じて独自の研究を重ね、大正2(1913)年凸版印刷をヒントに、点彫り蒟醤(きんま)を創案。従来の線彫りにはない奥行と立体感を出すことによって、蒟醤の新たな表現領域を生み出しました。昭和2(1927)年帝展に工芸部が設置されると、如真は卓抜した意匠と造形力による独創的な作品を発表し、帝展、新文展を舞台に活躍しました。また、如真は讃岐漆芸を代表する三技法(蒟醤(きんま)、彫漆(ちょうしつ)、存清(ぞんせい))をはじめ様々な加飾技法に習熟しており、創意あふれる技と卓抜した造形感覚には、讃岐漆芸の粋を見いだすことができます。昭和31年(1956)には蒟醤で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
 今回の展示では、昭和8(1933)年に制作された大作《供養之図 衝立》が昨年度当館に収蔵されたことを記念し、讃岐漆芸に大きな足跡を残した磯井如真の初期から晩年にいたる作品44点をご紹介します。

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