「Co-jin Collection 6ix Nikki」art space co-jin

「Co-jin Collection 6ix Nikki」art space co-jin

名称:「Co-jin Collection 6ix Nikki」art space co-jin
会期:2021/08/03(火) 〜 2021/12/26(日)
会場:art space co-jin
時間:10:00~18:00
休館日:月曜日
料金:無料

主催:きょうと障害者文化芸術推進機構
   art space co-jin
協力:日下部美術教室
   NPO法人 加音
   NPO法人 わくわく
   長嶋柊作品展を応援する会
住所:京都市中京区三条通烏丸西入御倉町80(千總本店2F)
TEL:075-253-1555
URL:art space co-jin

日本ではひらがなの誕生から幅広く展開をみせたと言われる日記。現在でも学校や職場での伝達事項の日報や、スポーツ選手のトレーニングメニュー記録、SNSでのつぶやきなどとして、私たちの生活の中に息づいています。そこでは作者の個人的な感情や記憶、また人々や物との社会的な関係性が豊かに形成され、多様な世界が生み出されています。
本展ではそれらを新鮮な驚きを与えてくれる創造物として着目し、唯勝也、長嶋柊、廣川照章、松原日光、吉田明弘の5名が記した魅力的な日記をベースに、絵画・立体作品や資料とあわせた展示を行います。
1枚の絵画として丹念に描き込まれた絵日記が、棒人間から写実期への変化が窺える1ページが、その日の出来事を多い時には100回以上も反復して綴られたノートが、過去から現在へと目眩く展開されます。
他人の秘められた部分を覗き見る背徳の愉しみも少し加え、各々の世界観が共鳴した華麗なる劇場をどうぞお楽しみください。

プロフィール

唯勝也(ただ・かつや)

1973年生まれ。大阪府茨木市在住。

1989年にギャラリー賛で、小学校4年生から毎日欠かさず付けていた“絵日記”の展覧会を開く。この展覧会がきっかけとなり「日下部美術教室」で油絵を学び始め現在に至る。ランダムな年月日の曜日が言えるカレンダー計算、旅先の経路をすべて記憶しているなどの能力に優れ、教室で描いたダーツの複雑な数字の羅列も、帰宅後の日記で正確に再現された。また、重ねた絵の具によって隠れた下書きの鉛筆線を削り取り再表出できるのは、描いた線を記憶しているからといわれる。唯勝也氏のまなざしによって記憶と知覚が往交い、対象が新しく最適化された姿となり現れ続けている。

長嶋柊(ながしま・とう)

1998年生まれ。京都市在住。

2002 年11 月、幼稚園の指導で絵日記はスタートした。
最初は両親の描く下絵に色をつけ、文字は手を持って一緒に書くことを根気強くつづけた。やがて一人で思い通りに描けるようになり、日記帳は現在211冊を超えるまでとなった。
絵日記を継続することで文章作成やオイルパステルでの描画技術の向上だけでなく、コンピュータ・グラフィックスを使用した表現にもつながりを見せた。関心のある数多くの身近な出来事や工業製品、社会現象などを独自の視点で擬人化したり抽象化し、豊かで多種多様な世界観を表現するようになり、「しんくやくしょ」「ネユリト」「トロッコ作戦」「ヒコリディコリ」等のシリーズを生み出してきた。
20年近くにわたって綴り続ける絵日記には隙や抜かりがなく、1枚の絵画としての強度が十分に備わっているが、そこに至るよう献身的に導いた家族のサポートも大きな要素である。

廣川照章(ひろかわ・てるふみ)

1965年生まれ。京都市在住。

廣川氏の日記の特徴は”繰り返される1日”に尽きる。冊をまたいで継続される日も多い。1冊がわずか2日で終わっていたものもある。多いものでは400回以上綴られていた。書かれている内容は「日付」「行き先」「したこと」「購入したもの」「食べたもの」、ごく稀に「感想」など。誰かに見せるためではない。絵は描かない。
ときにダンボール箱に詰めて、ガムテープで幾重にも梱包する。それは「箱」と呼ばれる「命より大切なもの」となる。
じつはそんな「箱」も膨大に増えている。制作は自室に鍵をかけ見せず語らず進められているため、内容物は明確ではない。 1 日 1 個のペースで生み出され、グループホームの自室のみならず共有スペースにも日ごと積み上がり続けている。

松原日光(まつばら・ひかる)

1975年生まれ。京都市在住。

幼い頃から続けている絵日記。90年代半ばにはワープロで制作した文字をプリントしていた時期もあった。その後、刺繍作品の裏面を思わせる激しいストロークの文字と描画の様式となり、最近では複数色のボールペンを使用し彩りが加えられた。
16歳のころから刺繍を始める。旅行で見た船や飛行機、季節ごとに庭に咲く花々は大きな「刺繍の絵画」となって表現される。震災に心を痛めれば物憂げな動物がキャンバスに現れ、参拝した寺院に感銘を受ければ花びらに独特の模様が現れる。繰り返される毎日の中で繰り返される針の動きは、鮮やかな色彩を伴って松原の世界を紡ぎ出す。

吉田明弘(よしだ・あきひろ)

1993年生まれ。京都市在住。

小学校低学年のころから描いている日記は、初めの頃「僕は泣きました」がとにかく多かった。
自分の好きな物や出来事をユーモアを含ませて表現された絵と文章からは、茶目っ気たっぷりな人柄まで伝わってくる。
現在も作業所の休憩時間や自宅で書いている。3才頃には、大人の手を持って、絵を描くようお願いをしていた。そのうち黒板や紙に丸に手足が生えたものを描き始め、保育園に通いだすとアニメや映画などのキャラクターを描くようになった。小学校に入ると、パソコンで検索して調べ、気に入ったものをとにかく数多く描いていた。
日記に描かれている絵は、写真や実物を見るのではなく、記憶のなかにあるものを引き出して描かれている。幼くして亡くなった妹の「眞美ちゃん」は、日記のなかで存在しており、家族とともに成長した姿が描かれる。

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