名称:「いとまの方法: 杉並学園アートプロジェクト」児童養護施設 杉並学園
会期:2022年5月3日(火)~2022年5月8日(日)
開場時間 10:00〜17:00
入場料:無料
会場:児童養護施設 杉並学園
住所 〒168-0081 東京都杉並区宮前3-10-8
TEL:03-3332-2567
URL:小児童養護施設 杉並学園
児童養護施設である杉並学園は、約九十年の歴史を持ち、現在の園舎が建設されてから数えても五十年以上の月日を同じ場所に建ち続けてきました。たくさんの子供たちが暮らし、職員や支援者が過ごし、交差してきたその園舎が、2022年に解体されます。老朽化のため、2024年の竣工を目指して建て替え工事が始まり、その間、施設の機能は近隣のグループホームに分散されるとのことです。いま暮らしている子供たちの生活や施設の歴史、地域との関係性は、約二年の間、一時的にその場を明け渡します。
本企画「いとまの方法」は、その「いとま」となる期間を単なる空白でなく、意義深い節目にするためのプロジェクトです。多くの人が住まい、関わってきた建物には、たくさんの記憶と歴史が織り込まれ、蓄積されています。「学園」や「施設」といった言葉が覆い隠してしまいますが、そこは「家」であり、たくさんの人にとっての帰る場所でした。そこに日々降り積もり、滞留してきたものを拾い上げ、眺め、一旦の別れを告げる機会をつくるのが本展の目的となります。
思い出と呼べるものには、単なる出来事の叙述だけでないさまざまな情報が絡みついています。ある出来事が記憶として定着し、感情を織り込んだ思い出として昇華されるまでには複雑なプロセスが必要で、その過程を経る間に、その出来事にとっては副次的だったはずの情報――たとえばその時の匂いや天気、気温、着ていた服、流れていた音楽――がいつの間にか結びつけられていくのです。そしてひとは時に、むしろその瑣末な細部にこそ思い出の真意を仮託します。匂いから記憶を思い起こすことがあるように。
本展を通して、美術作品はこの施設に関わってきた人々の記憶に触れ、刺激し、思い出が編み上げられていく過程にポジティブに介入することができるでしょうか。重要な細部のひとつとなるアンカーを打つことができるのか、その方法を模索します。
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