鈴木清写真展「天幕の街 MIND GAMES」FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
名称:鈴木清写真展「天幕の街 MIND GAMES」FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
会期:2023年1月4日(水)〜2023年3月29日(水)
会場:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
時間:10:00〜19:00 (最終入場時間 18:50)
最終日は16:00まで(入館は終了10分前まで)
休館日:会期中無休
観覧料:無料
住所:〒107-0052東京都港区赤坂9-7-3(東京ミッドタウン、FUJIFILM SQUARE内)
TEL:03-6271-3350
URL:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
1960年代から70年代にかけて独自の展開を見せた日本の写真集は、近年、海外でも大きな注目を集めています。なかでも、約30年間の写真家活動の中で8冊の写真集(1冊以外はすべて自費出版)を発表した鈴木清(1943年-2000年)は、表現媒体としての写真集を唯一無二の次元に昇華させた写真家です。自らの手で綿密に編まれた多くのダミー本*1で繰り返し行われた試行錯誤の後に世に提示された写真集は、そのいずれもが五感の歓びを呼び覚ますような強い存在感を放っています。
*1 写真集に使う作品のコピーやキャプションなどをレイアウトし本の形に綴じたもの。写真集の設計図のような存在。
1943年、福島県好間村(よしま村 現・いわき市)の炭鉱町に生まれた鈴木清は、高校卒業後、漫画家を志して上京しますが、ほどなく絵の道を断念したその日、行李に入れて大事に持ってきていた土門拳の写真集「筑豊のこどもたち」に改めて惹かれました。そして、絵やグラフィック、漫画などと共通する“手によって創造する視覚分野”である写真に可能性を見出し、東京綜合写真専門学校に入学します。同校を卒業した1969年から翌年にかけて、『カメラ毎日』にてエネルギーの転換期に直面し、斜陽となっていく自身の原風景でもある各地の炭鉱を撮影した「シリーズ・炭鉱の町」を発表し、写真家としてデビュー。定時制高校に通いながら印刷所で働いていた経験を活かし、1972年、装丁やレイアウトまですべて自ら手がけた初の写真集『流れの歌 soul and soul』を自費出版します。
3冊目の自費出版となった1982年刊行の『天幕の街 MIND GAMES』は、それまで、すべて自分一人で手がけていた作業工程のうちデザイン、装丁部分を、初めてデザイナーの鈴木一誌に任せる試みがなされた写真集です。写真の組み合わせによって、写真の間から見えてくるものを大切にした鈴木清にとって、第三者の視点による再構築は自らの写真に新たな世界を発見する大きな契機になりました。1983年には、本写真集、同名展覧会により第33回日本写真協会賞新人賞を受賞しています。「サーカスの天幕」「A・Q・U・A水声」「腐爛(ふらん)風景」「路上の愚者・浦崎哲雄への旅 1979-1981」の四部で構成される本写真集のタイトルは、幼い頃、父親とともに見に行ったサーカスの記憶に由来しています。サーカスの人々や路上生活者といった「漂泊者たち」のイメージは、鈴木清の記憶と夢をたどる旅のようでもあり、見る者を夢と現実の狭間に誘います。
本展「天幕の街 MIND GAMES」では、『天幕の街』所収作品約40点と、生前刊行された写真集のためにコピー本を綴じ合わせて制作された本人の手による貴重なダミー本を展示します。
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