名称:「2023年度 コレクション展1」高松市美術館
会期:2023年4月6日(木)~2023年6月18日(日)
開館時間:9:30 〜 17:00
特別展開催期間中の金曜日・土曜日は19:00まで
休館日:月曜日
月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌平日休館
入場料:一般 200円、大学生 150円、高校生以下・65歳以上 無料
会場:高松市美術館
住所:〒760-0027香川県高松市紺屋町10-4
TEL:087-823-1711
URL:高松市美術館
色彩と共に絵画の基本的な構成要素である線。古来より画家は様々な種類の線を用いることで、画面に奥行を発生させ、自身の感情を投影させるなどし、多彩な表現を試みてきました。今回の展示では、線表現に着目しながら当館所蔵の現代アート(10作家15作品)をご紹介します。
例えば、斎藤 義重(1904~2001)は、戦前から戦後にかけて日本の抽象絵画をリードした画家ですが、《カラカラ》(1936年、73年再制作)は日本における最初期の抽象絵画といえるもので、ナイロンの糸を一定の規則のもとで画面に張り合わせることで、線の集積が織りなす斬新な美の世界を生み出しました。
菅野 聖子(1933~88)は、1960年代に関西の前衛グループ「具体」の一員として活躍し、細かな線の集積による緻密な抽象絵画を描きましたが、詩や音楽や数学など広い分野への関心を反映させることで、独自の展開を遂げました。《母音頌》(1973年)は批評家ユンガーによる母音の働きを論じた文章に影響を受け描いたもので、幅6m以上の大画面におびただしい数の直線や曲線が規則性を伴って描かれ、静けさと饒舌さが同居するユニークな世界を創出しています。
また法貴 信也(1966~)は《無題》(2008年)において、具象と抽象の間をゆれる有機的な形態を二重線により軽やかなに描き出し、見る者に多彩な想像を促します。
戦前から2000年代までの日本のアーティストたちが描いてきた多彩な線表現の魅力をお楽しみください。なお令和4年度に新たに収蔵された作品の中から4作家による11点の作品も同時にご紹介します。
〔常設展示室2〕金工の美 大須賀喬と大須賀選
令和4年度に大須賀選(おおすがせん)氏より、ご自身の金工作品22点をはじめとする工芸作品25点をご寄贈いただいたことを記念し、この度の寄贈作品ならびに過去に当館が収集した大須賀選とその父・大須賀喬(おおすがたかし)の作品あわせて34点をご紹介します。
大須賀 喬は、1901年、香川県高松市に生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)金工科を卒業しました。在学中より同郷の金工作家・北原千鹿(きたはらせんろく)に師事した喬は、官展を中心に作品を発表、早くから特選を得るなど新進気鋭の金工作家として注目されました。1927年には千鹿と共に自由な表現を標榜した金工家集団「工人社」を設立し、喬は、特に昆虫や植物などの自然をモチーフにした、詩情豊かな作品を作り続けました。
大須賀選は、1931年、香川県高松市に生まれ、東京藝術大学鍛金専攻科を卒業しました。在学中は三井 安蘇夫(みついあそお)に師事、鍛金による自在な造形を目指して、独創的な作品を発表しました。1963年第6回新日展で特選・北斗賞を受賞。その後日展審査員をつとめ、1975年会員となりました。この間、光風会、現代工芸美術家協会へと活動の場を広げ、1980年からは日本伝統工芸展を舞合に精力的に制作を続けました。
伝統的な金工の枠を超えながら新しい表現の可能性を探求し、日本の金工界に大きな足跡を残した大須賀喬と大須賀選の表現の軌跡をお楽しみください。
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