名称:「絵画で見る炭鉄港 伊藤光悦 輪島進一 羽山雅愉 三人展」市立小樽美術館
会期:2024年10月19日(土)-2024年12月28日(土)
会場:市立小樽美術館 2F企画展示室
休館日:毎週月曜日(11/4を除く)
11/5(火)・6(水)・26(火)
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
観覧料:一般 600円
高校生・市内高齢者 300円
中学生以下 無料
住所:〒047-0031 小樽市色内1丁目9-5
TEL:0134-34-0035・FAX:0134-32-2388
URL:市立小樽美術館
「炭鉄港(たんてつこう)」は、北海道の近代化を支えた三都(空知・室蘭・小樽)を結ぶ物語です。空知の「炭鉱」を基軸に、室蘭の「鉄鋼」、小樽の「港湾」、これらを繋ぐ鉄道によって北海道の発展に大きく貢献した北の産業革命を表します。
炭鉱の街夕張は1890(明治23)年に北海道炭礦鉄道会社が開鉱して以来栄え、北炭、三菱を中心に関連産業も発達していき、1960年には11万人の人口を超える都市となりました。しかしその後石炭から石油へのエネルギー革命により次々に閉山していき、炭鉱の街としての歴史は幕を閉じました。夕張に生まれ、美流渡(現栗沢町)に育った画家、伊藤光悦は、産業構造の変化により街が凄まじい勢いで衰退していった跡をたとり、無人になった炭住、病院などの寂寥感をリアルに表現してきました。
室蘭は産炭地から運ばれた石炭を積みだす港として発展し、その後近代的な製鉄業により「鉄のまち」「ものづくりのまち」として発展していきます。1987年から3年間室蘭に暮らした輪島進一は、他に類のない日本製鉄の工場景観と企業城下町に圧倒され、作風に大きな影響を受けました。製鉄所の構内見学でその迫力に衝撃を受けたことに加え、1993年から大学院で脳の解剖等を経験し、人間の視覚と創作を結び付ける脳のメカニズムを研究したことから、抜群の描写力で機械と人間を融合させた近未来的な世界が現れます。それは、ときに90年代バブルの世相や、騒音に溢れた現代社会に対する鋭い批判、人間の愚かさへの憐憫となって現れます。
小樽には、わが国初の本格的な防波堤を備えた港、官営幌内鉄道時代から鉄道輸送の中心となった手宮線が今も残っています。同時に石炭経営に関わった財閥系商社の建ち並ぶ色内銀行街など豊富な歴史遺産があります。羽山雅愉は、1990年代中頃から「黄昏」シリーズと題して、光輝く小樽港の展望風景を描いてきました。港に向かって下る坂道に添って、特徴ある洋風建築が美しい景観を作り出しています。写実的傾向の強い小樽派の伝統のなかで、幻想性を盛り込み、澄んだ色彩と洗練された構図の羽山の作品は異色であり、新しい時代の希望が感じられました。
北の産業革命「炭鉄港」のストーリーは、令和元年に文化庁が選定する「日本遺産」に認定されており、北海道の新しい魅力として、訪れる人に深い感慨と新たな価値観をもたらしています。
本展は三都市の特徴を感じ取り、崩壊と新たな構築のさまをライフワークとして描いた三人の具象系画家の絵画の魅力を紹介するものです。
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