名称:佐野市制20周年記念特別企画展「丸山瓦全と佐野のお宝保護作戦!」佐野市立吉澤記念美術館
会期:2025年1月25日(土曜日)~3月9 日(日曜日)
会場:佐野市立吉澤記念美術館
開館時間:午前9時30分~午後5時
休館日:月曜日、祝日の翌日、
観覧料:一般520円(470円)
()内は20名以上の団体料金
大学生以下・障害者手帳をお持ちの方とその介添者1名は観覧無料
団体以外は予約不要、入場制限を行う場合がございます
現金のみ
主催:佐野市、佐野市教育委員会、佐野市立吉澤記念美術館
特別協力:国立文化財機構文化財活用センター、東京国立博物館
協力:足利市教育委員会、エラスムス像研究会、(公財)佐野市民文化振興事業団、佐野市天明鋳物振興協議会、佐野商工会議所、大聖院、龍江院
住所:〒327-0501 栃木県佐野市葛生東1-14-30
TEL:0283-86-2008
URL:佐野市立吉澤記念美術館
栃木県の文化財保護に大きな功績のあった考古学者・丸山瓦全が見出した、栃木県佐野市に関係する文化財を紹介する展覧会です。重要な文化財の「発見」経緯や、また金属類回収令など文化財が危機に瀕した際に瓦全がとった「作戦」を紹介します。
足利の考古学者・丸山瓦全(まるやま・がぜん、1874~1951)は、幼少期を母の実家である葛生(佐野市)の吉澤家で過ごしました。同家は江戸時代後期以来、書画・文物に深い関心を持つ家で、瓦全と同家との親交は晩年まで続きました。そして、瓦全の代表的な功績のうちの2つが佐野の文化財に関するものでした。
最もよく知られた功績が《木造エラスムス立像(伝貨狄尊像)》(以下エラスムス立像)〔重要文化財、龍江院所蔵〕の発見です。大正8年(1919)、旗本・牧野家の菩提寺・龍江院(佐野市)の宝物調査に赴いた瓦全が「貨狄様(かてきさま)」と呼ばれる木像に注目、広く紹介しました。この像は1598年にオランダで建造され、三浦按針らが乗ったリーフデ号の船尾像であることが判明し、瓦全は国内に所在する意義を説いてオランダヘの流出を阻止し、昭和5年(1930)に旧国宝の指定を受けました。 本展では同像と共に本像を護り伝えてきた龍江院の作品・資料や発見経緯を示す資料を紹介し、貴重な文化財を護り伝え、その価値を語ることの重要性をご紹介します。
もう一つの功績は、明治末期頃から取り組んだ天明鋳物研究です。戦時の金属類回収令のもとで供出が進む中、瓦全は鋳物の保護と銘文の記録を進め、重要な梵鐘についての保護を求めました。その際、エラスムス立像の保護をめぐる経験が活かされたとも指摘されています。本展では、瓦全の保護活動を示す資料と共に、天明鋳物の名品を紹介します。その目玉として、最も複雑で高度な技術で制作された《鋳銅梅竹文透釣灯籠》天文19年(1550)〔重要文化財・東京国立博物館所蔵(以下「東博本」)〕と《鋳銅梅竹文透釣灯籠》天文14年(1545)〔重要文化財・引地山観音堂所蔵・佐野市郷土博物館寄託〕のそろい踏みとなります。さらに、丸山瓦全が制作を依頼した東博本の「写し」である香取秀真《鋳銅梅竹文透釣灯籠写》大正13年(1924)〔吉澤コレクション〕を展示します。東博本を激賞した近代金工の巨匠・香取と瓦全の関心の深さ、そして二人の関係性を示します。
上記のような瓦全の活動は、戦後の佐野の文化財保護行政の重要なルーツとなっています。佐野市では近年「天明鋳物のまちづくり」を推進し、令和5年(2023)1月に「天明鋳物」が商標登録され、また令和6年(2024) 3月に「佐野の天明鋳物生産用具及び製品」が国の「重要有形民俗文化財」指定を受けました。瓦全の活動をたどることは、現在佐野市全体で進める「天明鋳物のまち」としてのルーツを確かめることにもなります。
なお、佐野市は令和7年(2025) 2月に市制20周年を迎えます。本展を開催することで、佐野の文化財の重要性と市域が文化的につながりが深いことを知り、郷土への愛着を深める機会となれば幸いです。
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