
名称:萩原英雄 「純粋な木版表現」武蔵野市立吉祥寺美術館
会期:2025年3月6日(木)〜2025年6月1日(日)
会場:武蔵野市立吉祥寺美術館
開館時間:10:00 〜 19:30
休館日:3月26日~4月11日、4月30日、5月28日は休館
入場料:一般 100円、小学生以下・65歳以上・障害者手帳提示 無料
住所:〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8番16号 FFビル7階
TEL:0422-22-0385
URL:武蔵野市立吉祥寺美術館
大阪の万博が開かれる前年の1969年に、「浮世絵風の絵が描ける画家でなければ駄目だ」という理由で、アメリカのグラビア誌『LOOK』から、急遽万博のポスターを作ってほしいという依頼を受けた萩原。「聞けば、右頁に太陽の塔をはじめ、万博パビリオンのいくつかを、設計図から予想をして描いてほしい、左の画面の中に、大阪の、いかにも大阪らしい情景と、大阪城も入れろ、日本人の働く姿もほしい、新幹線も入れてくれ…。それを現代の浮世絵風に、一週間で仕上げてほしいという」。こうしてできた《EXPO`70》(1969年)は、まさに、依頼主の要望をきっちりと詰め込んだ“浮世絵風”の一枚に刷り上がりました。グラフィックデザインの才と、卓越した木版画の技術を併せ持つ萩原の力量が画面から見てとれます。絶えず技法の枠を広げる試みを続け、自由奔放な線を、木版で生み出したいと願っていた萩原が、1960年代後半、ついに開発したのが、木版の凹版化。凸版では得られなかった線や形の自由な表現が可能となり、凸凹併用の複雑な効果は、萩原を新しいテーマに誘います。国内外でさまざまな賞を受賞した「お伽の国」シリーズを皮切りに、1970年代に入ると、「ピクニック」「影法師」シリーズも誕生。実は一見、写真製版のように錯覚されるフォルムも木版で制作されています。萩原は、木版制作に、木版以外の方法を併用しませんでした。
「木版は、純粋に、どこまでも木版でなくてはならない」と、新しい表現が可能になるまで、新しい試みを重ねたのです。凸凹技法の併用からさまざまな効果を得てもなお、追及を続けた萩原の研究心が作品を通して伝わって来ます。

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