特別展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」豊橋市美術博物館

特別展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」豊橋市美術博物館

名称:特別展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」豊橋市美術博物館
会期:2025年12月13日(土)~2026年1月25日(日)
会場:豊橋市美術博物館
開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(1月12日は開館、翌13日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)
入場料:一般800円(600円)、小・中・高校生400円(300円)※( )内は20名以上の団体料金
住所:〒440-0801 愛知県豊橋市今橋町3-1(豊橋公園内)
TEL:0532-51-2882
URL:豊橋市美術博物館

特別展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」豊橋市美術博物館
特別展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」豊橋市美術博物館

概要:
本展「三河 天下人の地―足利から徳川へ―」は、岡崎市美術博物館との共同企画として開催される特別展である。江戸時代後期、儒学者・大田錦城(1765–1825)は「三河は天下人の地」と喝破した。その指摘は、徳川家康の天下統一以前に、すでに三河が足利氏の拠点として政治的・文化的役割を果たしていたことを示唆するものであり、錦城の洞察は歴史を俯瞰するうえで卓越した見識といえる。

本展では、足利氏から徳川氏へと連なる三河の歴史を、岡崎市美術博物館所蔵の貴重な文化財とともにたどる。鎌倉幕府を倒し、室町幕府を開いた足利氏は、三河国を要地として中央政権との結節点とした。その後、松平氏がこの地で勢力を伸ばし、徳川家康へと続く系譜を形成した。家康の天下取りの原点を三河の地に求める視点から、地域が果たした歴史的意義を再考する展覧会である。

展示では、足利氏や徳川氏ゆかりの寺社に伝わる文化財を中心に紹介する。主な出品資料には、岡崎市指定文化財「新迎知来像(松医寺蔵)」「松平清康像(随念寺蔵)」、徳川家康像(法建寺蔵)、聖徳太子像(大徳寺蔵)、および岡崎市指定文化財「天金のうち梵天(平山寺蔵)」などが含まれる。いずれも信仰と政治、文化が交錯する時代を象徴する貴重な作品であり、その造形や由来からは当時の権力者たちの思想と地域の繁栄がうかがえる。

さらに、展示解説では、足利氏が築いた広域的な支配網と、松平・徳川氏がそれを受け継ぎながら独自の政治基盤を構築していった過程を探る。三河の地が「天下人の出発点」であったことを裏付ける史実や、美術工芸品に刻まれた歴史の痕跡が、多角的に提示されている。

本展は、単なる歴史展示にとどまらず、地域の文化的連続性と政治的ダイナミズムを再発見する契機を提供する。足利から徳川へとつながる時間の流れを、具体的な資料とともに体感できる内容となっており、三河という土地が日本史において果たした役割の深さを実感させるものである。

作家略歴:
大田錦城(おおた きんじょう、1765–1825)—江戸後期の儒学者・文人。江戸から吉田(現在の豊橋市)に移住し、三河の地名や歴史を考察して「三河は天下人の地」と評した。地域文化と歴史を学問的に体系化した先駆者として知られ、その思想は後世の郷土史研究にも影響を与えた。

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